護衛任務?
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『「失礼します。」』
音もなく火影室へ現れた二人。
ミナトは息がぴったりな二人に何処か嬉しそうに笑った。
「(二人なら大丈夫だね。)」
カカシと玲を見ればミナトは口を開く。
「これから君達にとある人物の護衛をしてもらいたいんだ。ツーマンセルで動いてもらうけど、いいね?」
カカシはちらりと玲を見る。その視線に気付いた玲は小さく頷いた。
それを見たカカシは安心したようにミナトへ向き直る。
「…で、そのある人物とは?」
「実はね、この間君達が巻物奪還の任務を与えられたの、覚えてる?あの巻物の持ち主が木ノ葉に態々巻物を取りにこられたんだ。」
その言葉に玲は首を傾げる。
『あれはうちの巻物じゃなかったんですか?』
ミナトは正解、と口許を緩めた。
「そう、うちの巻物のはずなんだけどね、本人が自分のだって言い張ってて持って帰りたいようなんだ。でもそれは彼の本心ではなく…裏で糸を引いてる人が居そうだって話になったわけ。そこでだ、」
「…護衛と巻物の奪還、場合によっては殺してもいい、と。」
ミナトは静かに頷くと窓から外を眺める。
「そういうこと。君達の連携も完璧だし、相手もそんなに大きな組織じゃ無さそうだからね、お願い出来るかな?」
『わかりました。ついでにその組織も暴いてきちゃいますね。』
玲の声が何処か楽しそうに聞こえるのは気の所為にしておこう、とカカシは心の中で思った。
日付が変わる頃、護衛対象の男の後ろを音もなく着いていく影が二つ。
玲ーーーもといツキは、感知結界を限界まで広げて歩いていた。
護衛を付けたのは向こうの依頼なので、二人が後ろを歩いているのは男もわかっている。
しかし足音も気配も出さない二人に、男は密かに冷や汗をかいていた。
一般人の足でこの男の住まいがある砂の国まではかなりかかる。二人は使うチャクラをコントロールしながら進んでいた。
砂の国まであと少しという所まで歩いた時、ツキの感知網に4人の忍らしき人が引っ掛かった。
『…北西1.5キロに四人感知』
「了解。八百メートルまで近付いたらまた教えてくれる?」
『はい。』
小声で情報を共有する。
その時だった。
1.5キロ離れていたはずの敵が、物凄いスピードで近付いてくる。
ツキははっとして、感知網を小さくした。小さくすることで、より精密に相手の位置を視る事が出来るのだ。
『凄いスピードで接近しています。もうすぐ八百メートル。』
「そうか。お前は巻物の方を頼む。四人は俺が…『いえ、逆でお願いします。』
カカシの言葉を遮りツキは首を振った。
『貴方は写輪眼を使う時に大量のチャクラを使う。4人が相手では分が悪い。』
彼を真っ直ぐ見詰める。
『その代わり、巻物は貴方に託します。あの男は殺してしまって構いません。事情はこっち1人を尋問部に渡せば十分でしょう?』
言い終わると同時に、ツキが頭上にクナイを投げた。
『ったく…上から何をするつもり?というか気配の消し方も教わらなかったの?』
はぁ、と態とらしく溜息を吐く。
カカシに視線を送ると、小さく頷き男の後を追う。
すると敵の一人がその行く手を阻む。
「土遁、土石流!」
しかしこのような術に掛かるほどカカシも弱くない。
印を結ぶ相手の顔面を蹴り飛ばし、先へ進む。
『そちらは頼みました。…さて、お前らの相手はこの私だ。』
自分と四人の敵を囲むように結界を張る。
「はっ、態々敵と自分を密室に閉じ込めるなんて、マゾかお前は。」
『なんとでも言え。私はお前らに逃げられると困るんでね。』
ふっと面の下で笑みを零せば彼らを見据える。
「この際だから忠告しておく。俺らは四人で全員では無い。あと二人先程の男について行ったぞ。」
その言葉にツキは笑みを深くする。
『あぁ…それはこの二人のことで間違いないかい?』
ツキが指を鳴らすと、首が飛んだ男が二人、結界の外へぼとんと落とされる。
それを見た四人は目を見開く。
「貴様…いつの間に…」
『あんたらを結界に閉じ込める前辺りかな。』
火遁でその二人を燃やすと、再び四人へ視線を向ける。
『さぁ、無駄話が過ぎたね。次ああなるのはお前らだよ。』
言葉が途切れるや否や、結界の中は物凄いチャクラで溢れ返った。
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