戦闘
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ツキが敵を全滅させるのにそう時間はかからなかった。
数にすれば百人を超えていただろう。
彼女は中心核の男二人を素早く気絶させると、カカシの周りに張っている結界と同じものを張り、その中に男を放り込んだ。
『尋問部隊に引き渡す分です。色々と面倒な事が裏で起こってそうなのでね。』
そう呟けば残りの抜け忍に目を向ける。
そして左手にクナイで傷を付ければ、口寄せで大きな梟を出した。
「あらツキちゃん。久しぶりね。…って、そんな挨拶してる暇なさそう。とりあえず乗って?」
柔らかな口調の梟は、ツキを背中に乗せると大きく羽ばたいた。
「空中戦か?!」
抜け忍達は次々にクナイや手裏剣を投げるが、ひらりひらりと交わされてしまう。
『今からお前らを地獄へ突き落としてやる。私を見た抜け忍は一人たりとも逃さないよ。』
ツキがふっと笑うと同時にぐつぐつと地面が赤く染っていく。
『秘術 溶岩海流』
ぱちん、と両手を叩けば地面から真っ赤な溶岩が溢れ出してきた。
その名の通り海のように広がった溶岩は、次々と抜け忍を飲み込んで行く。
あっという間に全員を飲み込めば、あたりは先程と同じ様な蛋白質の焼ける匂いだけが漂っていた。
よいしょ、と梟から飛び降りればカカシの周りに張っていた結界を解く。
続いて近くにいた尋問部隊に男二人を引き渡せば、ケロッとした顔でお待たせしました、とカカシに告げた。
「(こいつは…只者じゃないね。)」
傍で見ていたカカシは暫くぼうっとしていたが、ツキの声にハッとする。
「俺まで殺すかもって…そういうことだったのね。」
その言葉に面の下で苦笑を零せば小さく頷く。
「さ、帰ろうか。敵陣に長居は無用だ。」
それにツキも同意すると、二人は木ノ葉への道を急いだ。
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