単独?任務
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ツキはこの日、一人で暗殺任務に当たっていた。

暗殺対象は隣の国の大名の護衛である。

何もその護衛は抜け忍集団と自分の国のスパイをしているらしい。そしてその護衛の屋敷に置いてある巻物は木ノ葉から盗まれたものだという情報も入っている。

そして今回は一人だが一人ではない。というのも、暗殺はツキが、屋敷への侵入及び巻物の奪還はなぜかあのはたけカカシがやるというのだ。

ツキは自分一人でも出来ると言い張ったが、三代目が許してくれなかった。(なぜかカカシも断固として譲らなかった。)

ということで今回はツーマンセル(?)で動くことになった。が、ツキはあくまで気配を消して後ろからついて行くだけ。二人に接触らしい接触はない。

二人は黙々と森の中を飛んで行った。




少し遡り、二日前。

カカシは三代目に呼び出され、火影室に来ていた。

「それで…お話というのは?」

「うむ。他でもない、ツキの話なのだがな。あやつとは一度会ったことがあろう?あやつはまだ8の歳になったばかりじゃ。そして単独の暗殺任務を好む…わしもそれに甘んじて色々と頼んでおるのじゃがな。少々荷が重いのではないかと最近思うのだ。そして今回も巻物奪還及び大名護衛の暗殺というAランク任務に当たることになっておる…そこでじゃ。」

パイプを吹かしながら三代目は真っ直ぐカカシを見た。

「お主とツーマンセルを組んでもらいたい。カカシ、お主は屋敷に置いてあるであろう巻物の奪還、ツキは大名護衛の暗殺…それに加えて、お主には頼みたいことがある。この任務では確実に戦闘になる。ツキの戦闘スタイルや癖などを見抜いて来て欲しいのだ。わしはあの子だけの傍に居ることは出来んからのう…カカシよ、頼めるか?」

自分にそんなことできるのだろうか、と思いながらもカカシは気付けば頷いていた。

そして頷いた自分に一番驚いているのは、他でもないカカシ自身である。

しかし頷いてしまったからには仕方が無い。それにツキのことが気になる自分がいるのも事実だ。

「…わかりました。どこまであいつの戦闘を見れるかわかりませんが、承ります。」

その後ツキも火影室へやって来て、今回の任務の内容を聞かされた。当たり前だが非常に驚いていた上に一人で充分だとその提案を突っぱねた。が、火影もカカシも一寸たりとも譲らず、結局決行されることとなった。




「(ま、そういうことだからさっさと巻物見つけてあいつと合流しないとね。)」



しばらく走ると目の前に小さな小屋が見えてきた。

カカシはツキに目線を送ると、ツキは仮面をつけたまま頷く。中に人の気配はないから侵入しろ、という合図だ。

カカシは気配を消したまま天井裏から侵入した。

予め部屋の間取りは把握していた為すんなりと巻物を手にして出てくることが出来た。

そしてカカシの本当の任務はここからである。

ツキは何処だ、とあたりを見回すと小屋の南側から大きな炎が上がる。

「あそこか…」

足音を消しながらツキに近づく。

近づくにつれて、独特な蛋白質の焼ける匂いが充満していることに気づいた。

「(遅かったか…!)」

咄嗟に走り出そうとしたカカシは誰かから後ろに引っ張られる。

『何飛び出そうとしてるんですか。』

「?!」

忍服を引っ張られたカカシは衝撃に目を見開いた。

「(俺が気付かなかっただと…?!)」

いくら集中力を切らしていたとはいえ、いつもなら誰かがいれば直ぐに気づく。自分が鈍感なのか、彼女がそれを上回るほどの強者なのか…

「(おそらく後者だろうな。)」

ぐっと何かを考え込むカカシに、ツキは狐の面をしたまま不思議そうに見上げた。

『どうしたんです?まだここは敵陣ですよ。』

「…さっき、お前の火遁が見えたんだけど。もう敵とは遭遇したの?」

その言葉にまさか、と両手をあげる。

『まだ会ってないですよ。護衛の暗殺…というか、のこのこ出てきたんで普通に殺しちゃいました。あとさっきの火遁は成仏するのと、私がここにいるのを敵に知らせる為の陽動です。』

がさがさと森の奥から何人もの足音が聞こえてきた。

「さっきでかい炎が見えたのはここら辺だ!」

『ほらね、引っ掛かった。』

は、とツキは自嘲気味に笑えば、貴方はここにいてください、と告げて敵の中へ突っ込んで行った。

そしてご丁寧にも、カカシの周りに前回と同じような結界を貼って。


だが前回とは状況が違った。貼られた結界と、ツキと敵が戦っている場所が異様に近い。それに加え敵の数は数え切れないほど多いのだ。

「おい!俺もてつだ『ここに来たら貴方ごと殺してしまうかもしれない。だから来ないでください。』

言いかけたカカシにぴしゃりとツキが言葉を被せる。

それに息を飲めば、大人しく彼女の戦闘を見ることにした。


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