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目覚ましの代わりに



青葉城西高校の合宿中。



「なまえ」

「えぇ…またぁ?」


一ちゃんが顎で指した方向を見て、私は本日一回目の溜め息。
ちなみに誰かさんのせいで私と一ちゃんは一日100回は溜め息ついてると思う。

「あいつを起こすのは昔からお前の役目だろ」

「一ちゃんが起こしなよ」

「じゃあ頼んだ」


私の言葉を丸無視して、一ちゃんはそそくさとどこかへ行ってしまった。


私と徹と一ちゃんは中学から同じ部活のまぁ幼馴染みみたいなもん。
だから、徹の寝起きの悪さは身を持って知っている。だから、だから!起こしにいきたくはないのだ。


ハァ……仕方ない。


男子部屋を開けると布団がまだ一つだけ敷いてあった。寝てるのはもちろん徹。

他の部員はちゃんと起きている。


主将なのにこれってどうなの……?


「徹ー、と、お、る!朝ですよー。起きてくださーい」

……はい、無視。

「徹ってば!!!早く起きないと遅刻だから!主将が遅刻ってどうなの!」

仕方なく布団の上から徹の身体を揺すったら、

「んぎゃぁっ!」

起き上がった徹に思いっきり腕を引かれて、そのまま胡座を組んだ徹の胸へとダイブしてしまった。

「なまえ、もっと色気のある声だしなよ」

「もうっ!いきなりなんなの!」

すっかり徹に抱き締められる形となって、私は恥ずかしいやらなんやらできっと顔は真っ赤だろう。

「ってか狸寝入りだったの!?」

「だって合宿中ぜんっぜんなまえと二人きりになれないんだもん」

私のほっぺやらおでこやらに、優しくキスして、そして両手で顔を押さえられ口にキスされた。

「目覚ましのちゅー」

「……馬鹿徹」

「のわりに顔真っ赤だよー?」


なんて徹にからかわれて。
でも、なんだか少し嬉しいって思ってる私がいて、ホントに私は徹にベタ惚れなんだなって思い知らされた。

まぁ、そんなこと言ってやらないけどね。




目覚ましの代わりに
(キスをひとつ)







あとがき

ちなみに及川くんはわざといつも起きてこないです。
なまえちゃんに起こしてもらいたくて、わざと寝起きが悪いフリをいつもしています。

そのことを一ちゃんは知ってます。
知っててなまえちゃんに起こしに行かせる辺り、一ちゃんは及川くんに甘いですねー。




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