クリスマス
「今日はクリスマスかぁ」
お昼休み。
影山の教室にお邪魔して一緒にご飯を食べる。
最初は二年生である私が一年生の影山の教室にいるってことで物凄く注目を集めていたけれど、もう皆慣れてくれたようで自然と馴染んでいる。
「影山とどっか行きたかったな」
「すんません」
「なんで謝るのよ。部活だもん」
申し訳なさそうに頭を下げる影山の口に、私のお弁当のおかずを運べばいつものように大きく口を開けて食べる。
「美味し?」
「はい」
「良かった。これ新しく作ってみたの」
クリスマスでも部活はある。
それは仕方ないこと。
でも……少しだけクリスマスのデートに憧れたりするものなのです。
「…あの、さ、なまえさん」
「ん?」
「部活終わったら一緒に帰りませんか」
「え?いつも一緒に帰ってるじゃん」
帰り道が違うのに、影山はわざわざ私の家の近くまで送ってくれる。
だからいつも帰りは一緒。
「あ、まぁ、あげたいものがあ…いや、なんでもないっす」
あげたいもの…って……。
影山はサプライズでくれるつもりだったのか、分かりやすく焦ったように目をキョロキョロと泳がせる。
私は思わずこっそり笑ってしまう。
相変わらず不器用というかなんというか。
「え?ごめん聞こえなかった。なに?」
なんて私は嘘をつく。
「とりあえず!一緒に!!帰りましょう!!!」
「…影山声でかい」
教室にいた人全員に聞こえちゃったよ。
恥ずかしい、けれど、とっても嬉しくてにやけちゃう私がいたのでした。
クリスマス
(帰り道がいつもより楽しみ…)
あとがき
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