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いつか、また、笑って


(作者本人でも気分が暗くなるくらいの悲恋なのでお気をつけくださいませ…)





高校一年生。

貴方に出会って恋をした。


「みょうじ!練習すんべー」

「私はマネージャーですぅ」

「だってまだ誰も来てねーんだもん」


いつもめいっぱい早く着替えて走って体育館へ急いだ。
だっていつもホームルームが早く終わる菅原と二人で話が出来たから。

「もう仕方ないなぁ」

って口ではいいながらも内心にやけてた。



高校二年生。

いつの間にか、貴方の隣は私のものになってたね。


「龍、夕うるさい」

奇声を発しながら、ものすごい勢いでこちらへ走ってくる二人を一喝する。
すると、菅原が少し拗ねたような表情で私の服を摘まむ。


「なぁ、田中と西谷は名前呼びなのになんで俺は苗字なの?」

「え?だってスガも私のこと名前呼び、だし……」

「なまえ」

「っ……」

「な?これで俺のことも名前呼びすんべ?」

「こ、孝支……」

「よし」

孝支の笑顔を見るだけで幸せになれた。
付き合うことはなかったけれど、女の子の中で私が一番仲良いよねって自分で思ってた。


高校三年生。

孝支との距離感が掴めなくなった。
大好きで、大好きなのに、どうしていいか分からなかった。
告白する勇気もでなかったの。


「孝支」

「んー?」

「もうすぐ引退だね」

「そうだなぁ」

「……楽しかったねぇ」

「なぁ、なまえ」

「なぁに」

「なんでもない」

「ふふ、なにそれ」


この時、孝支は何を言おうとしたんだろう。
告白だったのかな。そう、自惚れてもいいかな。




そして今ーーー23歳。

私は結婚式場にきていた。
自分の、ではない。孝支の。

大好きだった孝支の結婚式。


「孝支」

「なまえ、来てくれたんだ。ありがとう」

あの頃から何も変わらない孝支の笑顔。
胸がきゅうって締め付けられた。

ああ泣きそう。でも伝えたい言葉があるから。



「ねぇ、孝支」

「ん?」

「ずっとね、三年間大好きだったよ」

私、いま上手に笑えてる?

「高一から高三まで、ずっと孝支のこと見てた。孝支が笑ってるだけで、毎日幸せになれたの」

泣き顔なんて見せたくない。

「伝えられなくてごめんなさい。勇気がなかった…言えなかった」

最後くらい笑顔を見せたい。

「きっとそういう運命だったんだよね。でもね、高校生の私は伝えたかったか
ら。大好き、って伝えたかったから」


ーーーあの頃みたいに、二人で笑いあっていた頃みたいに。



「……なんだよそれ…遅いべ」

「……ね。だよね。でもこのままじゃ三年間にさよならできないから」

私は孝支に背を向ける。
もう、涙が溢れそうだったから。
ううん、溢れてしまって頬に流れてしまっていたから。


「こ……。……菅原、結婚おめでとう。バイバイ」


ありがとう、孝支。
貴方のおかげで、三年間幸せだった。




「みょうじ」

「……」

「俺も大好きだった。あの時言いたかった言葉。言えなかったんだ。ありがとう。高校三年間。ーー俺も、幸せだった」

涙を拭いて、口角を目一杯上げて振り返った。
すると孝支は少し驚いた後、笑ってくれた。私の大好きだった笑顔。




もう「なまえ」と呼んでくれる貴方はいない。



さよなら、高校時代の私達。

また、いつか。




いつか、また、笑って
(話せますように。)







あとがき

高校時代の恋は、きっとハッピーエンドだけじゃない、そう思って書いたんですが……

無理です。こんな悲恋無理ですうううううううう。悲しい!なんで伝えなかったの!なんでスガさん待ってあげなかったの!!!!
すぐさまラッブラブなお話載せるのでお待ちください…!!!




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