▼ 5話
それは唐突に始まったのだ。
その出来事のせいで鶴見沙織は雲雀恭弥に応接室に呼び出しを受けていた。大方何の為に呼び出されたのか予想は出来ていたが。
「そりゃあ大変そーぉ…で、私に何をして欲しいのかな?雲雀恭弥くん。」
「分かってるんでしょ、聞かないでよ。」
「まーぁね」
そう言って鶴見沙織はキャハハと笑う。
彼女は それよりも、と話題を展開させる。
「これ、誰がやってるのか心当たりとかない?」
「僕の身に覚えはないよ。」
「ほら、風紀委員って結こ…あー、恨み買ってるじゃん?」
「襲われてるのは風紀委員だけじゃないよ」
少々雲雀恭弥はイラついているようだった。
まぁ、それもそうか。と彼女は心の中で思った。自分の縄張りを荒らされただけでなく、並盛の生徒にまで被害が出てる。それを風紀委員長の雲雀恭弥が黙っている訳が無かった。
「まー、この鶴見沙織に任せてよ。怪我人の手当はしっかりさせてもらうからさぁ!」
「君の腕が良いのは認めてるけど本当に大丈夫なの?」
「いや、私を舐めてもらっちゃ困るぜ?」
「…僕が心配なのは君の頭の中身だよ。」
「キャハハ、ひっどぉーい!私もそこまで馬鹿じゃないって!」
雲雀恭弥が鶴見沙織を読んだ理由は至って簡単、怪我人の治療だ。彼女はただの保健委員長という訳じゃない。多少とはいえ医療の専門知識を持っているし、なにより彼女の治療の腕はそこらの医者よりは良い。
「じゃ、私は病院に行ってくるから授業サボるね!先生によろしく頼むよ!さらばじゃ、ひばりん☆」
「ちょっとその名前でで呼ばないでくれる?咬み殺すよ。」
「それは御免だね!キャハハ!」
持ち前の運動神経で彼女は応接室の窓から飛び降りて学校を出ていった。
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