初対面の彼


どうして、だろう。

こんな屈辱は初めてかもしれない。


初対面の彼



<パシャ、>


部室に戻る際に窓から見えた景色。
きれいだ、と思ってカメラを構えてシャッターボタンを押す。


(あれが、薄桜大の人か。)


窓から見えたのは1人の少年と1人の少女。
少年と少女なんて彼らには幼すぎる呼び方かもしれないけれど、きっと彼らは私より年下だろう。
彼らは窓の近くに咲く大きな桜の木の下で笑っていた。

その風景がきれいだと思った。


「ねぇ。保健室どこにあるか知っているかな?」


物思いに耽っていると急に近くから人の声。

振り返るとそこには見知らぬ薄茶色の髪の男がいた。


(この人も薄桜大の人・・)

「聞いてる?」

「あ。保健室でしたね。ここの廊下を真っ直ぐ行って右に曲がればありますよ。札もさがっているので分かると思います。」

「そう。ありがとう。」


彼はそう言うと歩き出す。


「あ、そうだ。」


けれどこちらを向き、


「君、写真部の人なんだよね?」

「そうですけど。」


そしてこう言ったのだ。


「あの2人を撮るだなんて悪趣味だね。」





「むかつく・・・。」


(初対面なのに。)


私の彼に対する第一印象はそれだった。




2011/07/20


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