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「今年も写真部に来ないかなぁ。」
「今年”も”来ないかもね。」
「ゆきちゃん!」
「わかってるってば。」
私は緋色大学写真部に所属している。
写真部に入った理由は、もちろん写真を撮るのが好きだからだ。
写真部の部員は7人。
「なんとかして他大学の生徒を入れ込みたいよね。」
そのうちの一人が同学年の春日珠紀。
「まぁ・・そうだよね。」
「あぁー、なんで写真部希望する人いないんだろうね。」
「あんまり活動してる感じの部活じゃないからじゃない?」
「えー。」
緋色大学の部活の仕組みは変わっている。
普通、大学の部活には他大学の生徒は入部できない。
しかし緋色大学の場合、体験部活という制度があって、その制度を受けた他大学生は緋色大学の部活に入部できるのだ。
この制度がどうして緋色大学にはあるのかというと、緋色大学をより多くの人に知ってもらおうというのが第一の理由であった。
というのも、緋色大学はまだ設立してから時があまり経っていないからだ。
それでも緋色大学の制度は充実しているため、多くの受験生が毎回試験を受けにくる。
そして受かった者たちが入学してくる。
「大体今になって部員8人未満は廃部とかありえない!」
「ほんとあの人はなに考えてるんだか。」
緋色大学副校長に就任しているのは芦屋正隆。
見るからに胡散臭いおじさんである彼が副校長。
「あー、なんとかしよう!」
「うん!薄桜の人入れようね!」
「、」
「ゆきちゃん?」
「・・あ、なんでもない。」
”薄桜大学”・・古くからある大学で有名なのは知っていたけど。だけどこのもやもやとした気持ちはなんだろう。
『もう一度、』
「え?」
「?どうかしたの?」
「今誰かの・・」
「?」
誰かの声がした。
2011/07/18
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