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緋色大学に入学して3年目。
私は大学3年生。今年で部活の方は引退だ。
「ゆきちゃん、」
そう私を呼ぶのは大学1年の時から同じクラスの女の子。
入学式の時隣の席だった女の子で、クラスが同じとわかった時はとても驚いた。
というのも、入学式の席は自由席だったからだ。
「どうかした?」
「…あ、あのね!今日から各部活に何人か他大学の生徒がくるって先生言ってたじゃん?今年は――大学だって。」
「…え?」
いきなりノイズが入ったみたいに大学名が聞き取れなかった。
‥…いや、それとも私が聞き取れなかったのか。
もしかするとその言葉を拒否していたのかもしれない。
私は彼女が言った言葉が聞こえなかった。
「薄桜大学だって。」
今度はしっかりと聞こえた。
――――
≪薄桜大学≫
「毎年緋色大学は他大学の生徒を何人か体験サークルという型で短期間の間受け入れている。
今年は薄桜大学の生徒が行くことになった。
では、緋色大学に行く者を発表する。」
〈ざわざわ…〉
「まずは4年から。
4年、原田左ノ助。」
「はい。」
「永倉新八。」
「はい。」
――――
「はく、おう?」
「薄いの薄(うす)に桜で薄桜(はくおう)。」
「薄桜大学…」
どうして、
どうして。
どうして、なんだろう。
未来を願ってかけた魔法は再会を期にとけていく。
また、
悲しい物語が始まってしまうんだ。
2011/6/28
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