ちびっこ2人


その会話は確か、前もあった。


ちびっこ2人



「何があったんだ?」

「真弘は何も聞いてなかったのか?」

「いや、それは祐一先輩もじゃないっすか?」

「あのよ。とりあえず今いるメンツの紹介してくれないか?」


そう言ったのは原田さんだった。


「あ、はい。ではまず私から。緋色大学3年蒼井ゆきです。部長です。」


こうして、薄桜大学の入部生である(雪村さんと南雲くんを抜かした)2名に私達は自己紹介していった。


「じゃあ次は俺らだな。俺は薄桜大学1年の藤堂平助。」

「俺は4年の原田左之助だ。よろしく頼むな。」

「では写真部の活動に関して簡単に説明します。写真部は主に年に3回大きな発表があります。4月、10月、12月です。
4月は新入生歓迎のため。これはもう終わったので次の発表は10月にある文化祭です。
文化祭に出す写真については毎年テーマがあって、今年のテーマはまだ決まってないので後日連絡します。
基本的に活動は個人個人でやってもらっているので、週に何回部活があるっていうのはありません。」

「なるほどな。」

「ふーん。毎月集まるってこともないのか?」

「決まってませんけど。自然と集まってます。」

「へぇ。」


聞いてみれば、2人は薄桜大学では剣道部に所属しているらしい。
やっぱり運動部ということもあり、毎日部員と顔を合わせるのは当たり前だったので、なんだか変な気分だと言った。


「えと、藤堂くん。雪村さんと南雲くんにも伝えておいてくれる?」

「あぁ、はい。っていうか俺年下だから敬語使わなくていいよ!それに”藤堂くん”ってのやめない?」

「へ?」

「”平助”って呼んでやってくれるか?」

「な、なんだよ左之さん!!」

「お前は突然すぎるんだよ。ついでに俺のことも”原田さん”じゃなくて下の名前でいいぜ?」

「いや、でも・・先輩ですし。」

「固いなぁ。」


はは、と苦笑されてしまった。
でも真弘先輩でさえ先輩呼びしているのだから、そう言われてもやっぱり


「左之先輩、で。」

「あはは。まぁそうだな。」

「なんか左之さんってずりぃよなぁ。」

「おい!そこのちびっこ!」

「え!?俺のこと?」


ていうか真弘先輩いきなり・・しかも”ちびっこ”って・・。


「お前1年なのか?」

「そ、そうだけど。」

「そうかそうかー。」

「つまり真弘は自分と同じくらいの背がいて嬉しいということだ。」

「「な、」」

「お、お前なんか先輩じゃねぇ!真弘で十分だ!!」

「んだと?!お前より3つ上なんだぞ!」

「知らねぇよ!!!」


予想はしていたけど。なんかなぁ。
なんだろう。この場面前にも体験したような・・・。


『ええ?!お前、俺より年上?!!』

『そうだけど?』

『ええええ!』

『今日まで最年少幹部だったんだよねー。』

『その言い方むかつく!』


「え・・・」

(”最年少幹部”?)


前にもあった・・。そう感じた。
けれど今、頭の中に流れた映像は一体・・

あの声は私と、藤堂くんだった。

でも藤堂くんとは今回初めて会った。
それなのにあの会話は・・・その上さっきの映像では私達は着物を着ていた。

そしてその上に羽織っていたのは、


「う、」

「大丈夫?!」


あの模様は確か・・。

そこで意識は途切れた。



2011/08/13


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