未来への魔法 | ナノ
遠い距離
あそこで泣いているのは誰だろう。
・・ああ、またあいつか。
『どうかしたのか。』
『総司が僕の金平糖を食べやがった。』
『・・・お前なぁ。そんな言い方すんなよ。』
『歳だってそうじゃんか!』
『あのな、お前は『あー、土方が泣かしてる!』
『総司!”土方”、じゃねぇだろ!俺は年上だ!』
俺が17で総司が12、蒼井が10の頃。
総司はいつも俺と蒼井を振り回していて。
その度に蒼井はいつも泣いていた。
『総司の馬鹿!』
『あはは、ゆきが言ってもねぇ。』
『うー。』
この頃からあいつは泣かなくなった。
”10というキリのよい歳だ、もう泣かない”と言っていた。
それが今、
「土方さん。只今戻りました。」
山崎と総司、なぜか南雲まで連れてきたアイツ。
3人は医務室にいると言った。
「薫を1番組組長にして下さい。僕は組長補佐に戻ります。」
「何言ってやがんだ。」
「組長に”残された時間は少ない”、そうですよね。
薫は鬼ですから強いですよ。それじゃあ。」
「・・・。」
遠い距離
(いつからかアイツは一人で抱え込むようになった)
(だから助けようとしてもそれができない)
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