「…ふぁ〜ぁ………」
「お早うございます、土方さん」
「何だ…総司起きてたのか」
「えぇ、まあ……」
「そんなに人のことを見るなよ。おめぇ俺が起きるまで、ずっとそうやって見てたのか?」
「何恥ずかしがってるんですか?昨日あんなことしといて、今更ですよ」
「いやあれは……」
「僕、腰が立たないんですけど。誰かさんの所為で」
「…ま、あんだけ激しくやりゃあ、当然だよな」
「……土方さんだって、気持ちよかったくせに」
「おめぇが一番よがってたじゃねぇかよ」
「だって土方さんのこと大好きですもん」
「なっ…おめぇ何朝っぱらから積極的になってんだよ」
「別に積極的じゃありませんー。ただ思ったことを言っただけですー」
「そうかよ」
「……うぅ……さむ…」
「ほら、もっとくっつきやがれ」
「土方さんあったかーい。あ、もしかして僕といると心拍数が上がっちゃうとか?」
「ああ??誰がんなこと…いちいち上がってられるかっての」
「ねーねー土方さん」
「……何だ」
「一体どんな夢を見ていたんですか?」
「あ?」
「ゆ・め。見てたでしょ?」
「…いや……………」
「ふふ」
「何が可笑しい」
「隠しちゃって、全くもー仕方ないなぁ」
「別に俺は…」
「総司ーって、言ってましたよ。寝言」
「………………………」
「ねえ土方さん?僕と夢の中でもイイことしてたんでしょ?総司ー総司ーなんて言っちゃって。土方さんの変態ー」
「……」
「……ねぇってばぁ!素直に言ってくれたっていいじゃないですか」
「…いや、その…それは、つまり………あれだ。そろそろ大掃除しねぇと、ってことだ」
「はぁ?」
「掃除だよ。年の瀬だし、屯所の中、男所帯で相当汚ねぇだろうからな」
「ふぅん……土方さん、掃除が大好きなんですね」
「別に嫌いじゃねえが…」
「掃除に向かって好きだって言うくらい大好きなんですね」
「っ!!!」
「じゃあ土方さんは大好きな掃除の夢でも見ててくださいよ。僕は朝餉まで寝ますから」
「っおい、総司!拗ねるなよ」
「僕はもう寝ましたすぴーすぴー」
「寝たふりをするな!……ったく、悪かったよ。おめぇの夢を見てたよ!」
「もー。照れてないで最初からそう言っていればいいんですよ」
「悪かった。だから、こっち向け」
「………それで?どんな夢だったんですか?」
「……ただ、昔に戻って…総司が小さくて…俺が風呂に入れてやろうとしたら、おめぇが裸のまま逃げやがるから、怒鳴りながら追いかけ回していた夢だ……」
「へえ……随分と悪趣味な夢ですね…」
「て、てめぇ!このやろう!」
「ぐぁ……く、苦しー!!そんなにキツく抱き締めないでっ…」
「黙ってじっとしてろ。こうしてりゃ、『総司、愛してる』って寝言が言える夢を見られるかもしれねぇからな」
「っな………」
「分かったらさっさと寝ろ」
「……じゃ、土方さんと同じ夢が見られるように頑張ってきます」
「…おめぇ、自分で総司、愛してるって言う気か?」
「!ば、馬鹿ですか??!そんなわけないじゃないですか!もう!土方の馬鹿!意地悪!」
「じゃあ、何て言うんだ?」
「………早く寝てくださいよ」
「ああ?」
「っ……分かりましたよ!もう!土方さん、愛してる!って言うんです!馬鹿!」
「馬鹿は余計だ」
「お願いだからつべこべ言わずに寝てくださいってば!」
「分かったよ。おやすみ、総司」
「…………おやすみなさい」
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