bookシリーズ | ナノ


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『続いてのお便りは、ペンネームたきおさんからいただいたわ!ありがとね〜たきおさん!ええっと、





――初めまして、いつも"甲子太郎の恋愛相談室"楽しく聴いてます。


はいはいありがとね〜。


――実は、僕には好きな人(Hさん)がいます。


あらまぁ、男の子なのね!
男の子もこのラジオ聴いてくれてるなんて嬉しいわ。


――近所に住んでる幼なじみなんですけど、年上でものすごい美人なんです。因みに年は七つも離れてます。


いいじゃない年の差!しかも美人とか!
まぁ私は女には興味ないんだけど。


――もう何年も片想いし続けてるんですけど、向こうは全く気付いてくれません。
僕は年上のHさんが相手にしてくれるように、背伸びをした服装や振る舞いを心がけたりと、色々努力しています。
Hさんは教師なので、試験期間で忙しい時なんかには、指を傷だらけにして、頑張って覚えた家庭料理を作ってあげることもあります。


あらやだ可愛いわね。
たきお君Hさんなんか諦めて私にしない?
というか、Hさん教師なの!まさか禁断の恋愛したいとか言うんじゃないでしょうね?!
まぁ、障害が多い方が燃え上がるっていう人もいるけれど。


――幼なじみなので当たり前にお泊まりもするんですが、幼なじみである所為でかえって家族感覚になってしまうのか、いい雰囲気になったことは一度もありません。
ただ嫌われていないことだけは確かで、Hさんは僕のことをすごく気にかけてくれているし、お互いにどこまでも気の置けない仲です。よく遊びに行ったりもします。
でもそれは、裏を返せば全く恋愛対象として見られてないってことなんじゃ…と最近すごく悩んでます。向こうは僕のことを弟くらいにしか思っていないんじゃないかと。


うんうん分かるわ。
ここにも幼なじみとの恋の相談はたくさんくるけど、幼なじみ特有の近さってものがあるのよね。
前に助平さんって子から来たお手紙も、確かそんな内容だったわね。


――僕は今の良好な関係が崩れるのが怖くて、どうしても告白に踏み切れません。
真っ向勝負して玉砕して、弟としてすら扱ってもらえなくなるのはどうしても嫌です。


そうそう!これなのよ!
幼なじみだと特にね!一緒に過ごしてきた時間が長い分、この先気まずくなりたくないって子が多いのよね!
分かるわ〜たきお君。


――だけど、告白しないでいるうちにHさんが他の人と付き合っちゃうかもしれないと思うと、ご飯も食べられません。
Hさんが好きすぎて、Hさんが他の人を好きになったら、その人のことを斬っちゃいそうなくらいです。
だからいずれ告白しようとは思ってるんですけど、いつもあともう一息、どうしても勇気が出ません。


あら……いきなり物騒ね。
やだこの子ストーカーじみてるのかしら。


――なので、せめてHさんに、"僕がHさんを幼なじみではなく恋愛対象として見てるんだ"ってことに気付いてもらったらどうだろう、と考えました。
直接言葉にしないなら、Hさんが嫌だった時も、態度で表したりして婉曲的に断ることができると思うんです。
そうすれば、真っ向勝負して玉砕するよりも、その後の関係が悪化するリスクだって低くなるんじゃないでしょうか。


なるほどね、それは前向きでいい考えね。
男の子のくせに意気地なしだとは思うけど。そんな子も嫌いじゃないわよ。


――そこで相談なんですが、相手にそれとなく恋愛感情を伝えるには、どんなことをしたらいいと思いますか?
僕はあまり素直じゃないので、そんな僕でもやれる方法がいいです。
甲子太郎さん、よろしくお願いします。





あまり素直じゃないって……全く注文の多い子ね。Hさんも案外苦労してたりして。

まぁいいわ。わざわざ手紙を送ってくれたんだから、悩める男子くんの力になってあげないとね。

要はHさんに「アレ?もしかして…?」って思わせればいいんでしょ?

……そうねぇ、もう、このラジオ放送を聞かせちゃえばいいんじゃない?

もちろん、さり気なくよ。

たきお君、録音はしてる?
録音してなくてもネットで再放送してるから大丈夫。

お泊まりした時に流してみたりしたらどうかしら?

7歳差とか教師とか、当人たちなら分かりそうな情報がたくさん入ってるから、Hさんもよっぽど鈍感じゃない限り気付いてくれるんじゃない?

まぁ、あなたの重たそうな思いに気が付かないなら、相当鈍感なのかもしれないけどね。

というか、Hさんがあなたの気持ちに気付いてて素知らぬふりをしてる可能性は、全くないわけ?

もしそうだったら、残念だけどたきお君は死亡フラグね。

または、Hさんもあなたと同じように悩んでる可能性は?皆無なの?

あなたが全くHさんの様子に触れてないから、それが分からないじゃない。

そこのところ興味あるわね!

まぁ、このラジオを聞かせた時の反応で、Hさんの気持ちも分かりそうなものだけど。

これが自分たちのことだってすぐに気付いたら、Hさんはあなたの気持ちに気付いてるか、もしくはあなたに少なからず恋愛感情を抱いてるってことじゃない?

それでも確信が持てないとか、ラジオ作戦が失敗した時は、そうねぇ、またお手紙でも送ってきて頂戴な。
また甘辛いアドバイスしてあげるから。

たきお君とHさんが上手くいくように応援してるわね。』










「なぁ総司」

「ん〜なんですか〜?」

「俺たち幼なじみやめねぇか?」

「え……」

「幼なじみやめて、恋人にならねぇかって言ってるんだよ」

「ふ、不束者ですが!!」
(甲子太郎さんありがとう!!)




*maetoptsugi#




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