bookシリーズ | ナノ


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みんなショタ



近所の仲良しの家に赤ん坊が生まれたというので、お祝いついでに見に行くことになった。


「はい、トシはこれ着なさいね」


そう言って親によそ行きの服を渡される。

姉貴もいつもは着ないようなワンピースを着ていて、可愛いでしょ、と自慢された。

家族全員で赤ん坊のところに向かいながら、俺の気分はずっと暗く沈んでいた。

友達と遊びに行く約束をしてたのに。

何が楽しくて赤ん坊なんか見に行かなきゃならねぇんだ。


「おおトシ!久しぶりだな!」


赤ん坊の家に着くと、中から先に来ていたらしいかっちゃんが飛び出してきた。


「久しぶりって…いつも会ってんだろ、学校で」

「でもやはり四年生と三年生ではなかなか会えんからな!」


かっちゃんも、近所に住む幼なじみだ。

向こうは一つ年上だけど、かなり仲良くしてもらっている。


「あらー、トシくんいらっしゃい」


そう言って出てきたのが、赤ん坊の母親だ。

その後ろからは、俺とそんなに年が変わらないミツというこの家の長女が顔を覗かせている。


「みっちゃん!」

「のぶちゃん!」


女同士ではしゃぎ始めた姉貴たちは放っておいて、俺はかっちゃんについて、家の中へと上がらせてもらった。


「すごく可愛い赤ん坊なんだぞ」

「可愛いって、男って聞いたんだが」

「でも可愛いんだぞ」

「ふぅん……」


後ろから追いかけてきた母親たちに、赤ん坊のところまで案内してもらう。

小さなベビーベッドに寝かされていたのは、文字通り乳臭ぇ赤ん坊だった。

かっちゃんと並んで、まだ毛も生えていない赤ん坊を見下ろして、観察する。


「…これ、寝てんのか?」

「さっきは起きていたのになぁ………お母さん、触ってもいいですか?」

「どうぞどうぞ。可愛がってあげてちょうだいな」


かっちゃんは勝手に許可を取ると、赤ん坊のほっぺをよしよしと撫で始めた。


「ええ!かっちゃん、触んのかよ!?」

「何だ、トシ。虫けらみたいな言い方をするな」

「で、でもよ、」

「ほら、トシも触ってみるといい」

「………」


恐る恐るほっぺをつついてみると、ぷにぷにしていて気持ちいい。


「……柔らけぇんだな」

「ぁぅ…ぅ……」

「やべ。起こしちまったか?」

「ふぇぇ…ん」

「あらあらそうちゃん、起きちゃったの」


そう言って駆け寄ってきたのは、母親ではなくミツだった。

驚いて見ていると、器用に赤ん坊を抱き上げて、よしよしとあやしている。

生まれてからそれなりに時間が経っているものの、もう抱っこをマスターしているミツにぎょっとする。


「すげぇ……もう抱っこできんのか」

「俺もさっき抱っこさせてもらったぞ」

「え?かっちゃんも?」

「トシくんも抱っこしてみる?」

「え、いや…俺は………」


俺は赤ん坊なんて嫌いだ。

触ったら泣かれるし、抱っこなんてもっての他だ。


「いいじゃない、トシ。抱っこさせてもらいなさいよ」


が、遠くから聞いていたらしい俺の母親までにも言われてしまい、俺は渋々こくんと頷いた。


「………はい。落っことさないでね」

「……………」


緊張でガチガチになりながら赤ん坊を受け取る。

意外にデカい。そして重い。


「だぁー、ぅー」


口をパクパクさせて、訳の分からねえ言葉を発して、何が楽しいのか、ニコニコしながら俺の方に手を伸ばしてくる。

まん丸の翡翠の瞳が、すごく綺麗だった。


「…うわ、よだれ!よだれ垂らしやがった!」


ついうっかり見惚れていると、赤ん坊の口からだらーっと粘着質のものが垂れた。

赤ん坊を落っことすこともできずに怯えていると、赤ん坊の母親がやってきて、俺から赤ん坊を取り上げた。


「トシくんごめんね。赤ちゃんだから許してあげてね」


そう言って、洗面所へと促される。


「どうだ、トシ。可愛かっただろ?」


後ろからついてきたかっちゃんに、俺は思い切り眉をしかめてみせた。


「俺は嫌だね、あんなガキ」

「そ、そうは言ってもだな、これからあの子が大きくなったら、俺たちが遊んでやることになるんだぞ?」

「サッカーとか、野球とか、一人前にできるようになったら考えてやる。でも、俺の腕によだれ垂らしやがったガキなんざ、死んでも好きになんかならねぇからな!」

「トシ…………」


かっちゃんは、困ったような顔をして俺を見ていた。













「俺、死んじまったのかな」

「…………………はぁ?こんなときに、なに、言ってるん、です、か?」

「あ、いや………こっちの話だ」

「………??」


すっかりエロガキに成長した(いや、むしろ成長させられた)総司に赤ん坊のような格好をさせて、あんなに嫌だったよだれでベトベトの指を後ろに突き立てて、中をかき回して。

俺は一体どうしちまったんだ?


「ほんと、世の中何があるかわからねぇな」

「………いいから早く挿れてくださいよ」




年の差を突き詰めた結果こうなった。




*maetoptsugi#




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