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▼ 世界から消えた俺


気が付くと、見知った部屋の玄関に立っていた。
なんで俺はここにいるんだろう。死んだはずなのにな。
下半身を見てみると、服は着ていたので安心した。これで全裸だったら笑えねぇし。

廊下をスタスタ歩いてリビングの方に向かう。なぜか足音がしないが、まぁ幽霊だからかと納得する。

リビングの戸を開けると、最愛の恋人であったあいつが座っていた。

「おい。」

話しかけてみるがやはり反応はなし。つまんねぇな。近付いて肩に触れようとするが、やはり透ける俺の身体。いやここは触れられて「え?」ってなった方が面白いだろ。

しょうがないので向かいの席に着席して(なぜか椅子には座れた)目の前の恋人をまじまじと観察してみる。

痩せたな。というか痩けた?前より元気が無さげに見える。まぁそうか。俺死んだし。
頬には涙の跡、いや、涙が伝っている。俯いているのではっきりとはわからないが、きっと目は真っ赤なんだろう。
お前そんなに泣き虫じゃなかったのにな。

胸がズキンと痛む。

「「ごめん。」」

俺と恋人の声が静かな部屋にシンクロした。

「ははっ。」

俺たちはすごく気が合って、考えてることも大体一緒で、喧嘩なんてしたことなくて、これからもずっと一緒にいれるなって。

なんで俺、死んじゃったんだろう。

目から一筋涙が溢れた。

後悔しても遅い。俺はもう死んだから。だから、こいつには死ぬまで幸せに生きてほしい。

「ほんとに、俺がいないとダメだな。」

聞こえていないなんてわかってる。

「お前が幸せにならねぇと俺も成仏できねぇよ。」

目から涙が溢れて止まらない。

恋人が席を立ち、寝室の方に向かった。
なぜかペンと紙には触れることができたので、簡単なメモを残す。

2人で幸せになりたかったなんてそんなこともう遅い。
だから、生まれ変わってまたお前に会いに行くよ。

メモを書き終わり、ペンを置く。
なんだか眠くなってきた。
俺は再び眠りについた。














夕方。もそもそとベッドから抜け出し、君のいないリビングに向かう。

すると、ダイニングテーブルに小さなメモを見つけた。あれ、こんなのいつからあったっけ。

手に取ってメモを読む。

「うっ......。うっ、う、ううう。」

俺は机に突っ伏して、朝まで泣いた。



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