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▼ 山田くんと松山くんの恋模様 2

「松山くんおっはよ〜〜!!!!」

山田くんと接してわかったこと@
声が大きい

「ねぇねぇ数学の課題やった〜?」

山田くんと接してわかったことA
距離が近い

現に今山田くんは座っている俺の後ろから腕を回し、抱きついてきている。顔は真横にある。近い。

「見せてくれんの?!やった〜!松山くんすき!!」

山田くんと接してわかったことB
好きが多い

友達としてなんてわかってる。





「松山くんと隣の席でよかった〜!!!」

俺は隣になんてなりたくなかった。





始業式の日から、隣の席の山田くんが俺に執拗に絡むようになってきた。

休み時間、昼休み共に俺といたがる。いちいち撫でてきたり抱きついてきたり身体に触れてくる。
正直、身がもたない。片想い何年目だと思ってるんだ。山田くんに話しかけられるたび心臓が破裂しそうだし、触れられるたびそのまま心臓が飛び出てしまいそうになる。

「なぁ。俺なんかと話して楽しい?」
「なんで?めっちゃ楽しいよ!!松山くんみたいな人俺初めてあったから新鮮だし!!てかその質問毎日してる!!やっぱ松山くんおもしろ〜〜!!」

毎日同じ質問をしても、そう言ってケラケラ笑う山田くんが好きだ。






「山田〜〜女貸して?」
「あ〜〜ちょい待って。ん、今サキちゃん空いてるみたい。はい、ゴム。」
「センキュ〜〜!」

山田くんは女にモテる。そして、遊び人だ。

「どったの松山くんこっち見て。もしかして松山くんも女いる?」

山田くんとクラスメイトの様子をぼーっと眺めていたら、山田くんと目が合った。

「いい。」

山田くんはどんな風に女を抱くのだろう。優しく?乱暴に?俺に「すき」と言った口で女にも「すき」と言うの?

「松山くん顔白いよ〜?大丈夫?」

俺に対しての「すき」は友達としての「すき」で、それ以上でもそれ以下でもない。それでも、女に言ったように俺にも「すき」なんて言わないでほしい。

「大丈夫だから。」
「もしかしたら風邪?熱ある?」
「大丈夫だから!!!」

額に触れた山田くんの手を思いっきり払う。パシッと乾いた音がした。

「ていうか山田くんウザいんだよ!毎回毎時間俺に話しかけてきて。俺は静かに生きたいのに。大人しく生きたいのに。迷惑だ!!!」

言葉が矢のように次々と飛び出す。
ハッと気付いた時には遅かった。

「ごめんね。松山くんと仲良くなりたかったから。でも調子乗った。」

松山くんはそうへらっと笑って言って、いつもと変わらない笑顔で他のクラスメイトの元へと向かった。




見てるだけでいい。友達としてでいい。そう思ってたのに、俺の心は欲張りだ。山田くんからの特別な「すき」が欲しいなんてそんなこと言えるわけない。なら、この恋心が大きくなる前にそっと蓋をして、そして見ないふりをしよう。

もうあんな思いはしたくない。



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