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▼ 夕暮れ時のハロウィン(夕暮れ時)

※こいつらも付き合ってる設定です




「Trick or Treat!」

爽やかな笑顔でそう言った目の前の親友兼恋人に、俺は無表情で飴の袋を握らせた。


「ちょっと待って!そこは恥じらいながら、俺今日何にも持ってないんだけど///、だよね?!なんでお菓子なんて持ってるの?!」

「うっせーー!!!俺がそんなキャラに見えるか馬鹿!!たまたまさっき女子からもらったんだよ!!!悪いか!!!!」


付き合うまでは遠慮していたのか、穏やかだった親友兼恋人は、恋人にランクアップしてからはっちゃけ始めた。

正直、うぜえ。いつも犬かってぐらい構え構えってうるせぇし、イベントがあるごとにこんな感じだ。

でもまぁすきだから、嫌ではないけど......もごもご。



そんなことを考えていると、目の前の奴はいきなり無表情になったかと思いきや、飴を床に叩きつけた。


「おい、食べ物粗末にす「女の子と随分仲がいいんだね。」


地を這うような低く感情のこもってない声。

実はこの飴は、俺がこいつのために買ったものだ。最近喉の調子が悪いって言ってたから買ったのど飴。こいつのために買ったなんて言うのは恥ずかしくて照れ臭くて言えなくて、つい女子からもらったなんて言ってしまった。

床に叩きつけられた飴を見つめる。

俺が女の子と仲良くなんてないことなんてこいつが一番よくわかってる筈なのに。
飴を見つめていた目からポロリと涙が零れる。


「うっ......。ぐすっ。」


止まれ止まれと思っても涙は止まってくれないし、ボヤけた視界では目の前の恋人の表情すらわからない。


「ごめん。泣かせるつもりはなかった。」


気がつくと、恋人に抱きしめられていて、頭をぽんぽんと撫でられる。
一度身体を離すと、恋人は俺の涙を舌ですくって、唇に触れるだけのキスをした。


「ごめん。俺がわかってなかった。俺の喉の調子が悪いってわかって買ってきてくれたやつだったんだよね。この飴。圭太が素直にそういうの口に出す人じゃないってわかってた筈なのにごめんね。勝手に嫉妬して勝手に怒って。気付いてあげられなくてごめん。」


そう言って恋人は床の飴を拾う。

なんでこいつは俺が何も言って無いのに全てを理解してくれるんだろう。
本当、俺にはもったいない。


「俺の方こそ変な意地張って素直になれなくてごめん。」


目の前の奴を見ると、そいつは優しい笑みを浮かべていた。
今度は俺から抱きついて唇に軽いキスをする。


俺は自分でも思っているよりこいつに依存していると思う。

あぁ、すきだなぁ。



オレンジの光が部屋を包みこむ。
ぐーっと俺のお腹が鳴った。


「すきやき食べたい。」

「じゃあ、買い物行こうか。」


見つめ合い、もう一度キスを交わす。

夕暮れ時の一瞬。このまま時が止まってしまえばいいのに。


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