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▼ 珈琲屋のお兄さん 3

行きつけのカフェのお兄さんに本屋で会ってから数週間後、俺はまたお兄さんの働いているカフェに来ている。



お兄さんのいないときを狙って、だが。


ここに来るのはお兄さん目当てでもあったけど、もちろん珈琲目当てでもある。
あの日からお兄さんに会うのはかなり気まずい。でもここの珈琲は飲みたかったので、俺はお兄さんいない日を狙ってここに通っている。


今日も珈琲は美味しい。けど、やはり前より味気ない気がする。
俺も諦めが悪い。レジやバーの方を除いたってお兄さんはいないのに。

はぁと溜息をついて珈琲に映る自分を見るとその顔は今にも泣きそうで。
あの時声なんか掛けなきゃよかったなんて思ってももう遅い。



はぁ。
俺はもう一度深い溜息をつくと、カバンからレポートを取り出し、それに文字を埋めていく。




「お疲れ様です。よかったらお水どうぞ。」

いったい何分ぐらい集中して作業をしていただろう。疲れた。
店員さんにお礼を言おうと顔を上げると、そこにはこの曜日にはいないはずのお兄さんがいた。


「えっ、あ、あ、あっ、ありがとうございます...。」


久々に見たお兄さんはやっぱりかっこよくて素敵で、俺はついついぽーっと見惚れてしまう。身体も顔もあっつい。
お兄さんはにこりと営業スマイルで笑うと、そのまま他の席へと向かった。

久々にお兄さんに会えた嬉しさと、他人行儀の営業スマイルをかけられたことの悲しさで頭はごちゃごちゃ。
涙が溢れてくる。やっばい。



我慢しなきゃと思っても涙は溢れてきて、下を向いていると、一枚の白いカードが目に入った。

何だろうと思い見ると、そこには綺麗な字で FIGHT^^ と書いてあった。
俺優しくされるとダメなんだって。涙が次々と溢れてくる。



ん?よく見ると裏にもなんか書いてある。
カードを裏にするとそこには数字とアルファベットが並んでいた。
まさかと思いお兄さんの方をバッと見ると、お兄さんはニヤッと笑って内緒だよって口をパクパクとさせた。


ぎゅん


股間と心臓が苦しい。涙はいつの間にか引っ込んでいた。
え、これどうしたらいいの。連絡していいの。

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