小説 | ナノ


▼ 珈琲屋のお兄さん 2

俺は珈琲もすきだけど、本もすきだ。

そんな俺は、本屋に来ている。休日は本屋からのお兄さんのいる珈琲屋に行くのが毎週の日課。すきな本にすきな人。素敵な休日すぎる。えへへ〜。

るんるんしながら、お気に入りの文庫の前を通っていると、前からよく見知った顔が見えた。
あれは、あれは、あれは!珈琲屋のお兄さん!今日もめちゃくちゃかっこいいいい。はぁ、私服もお洒落。タイプすぎる。抱いてっ。

いつもはお店で同じ格好しか見ないから、私服のお兄さんがとても新鮮。
見惚れてぼーっとしてたら、お兄さんにぶつかってしまった。

「あ、す、すいません。」

謝った瞬間にふと思う。まさかこれはお兄さんとお近づきになるチャンスじゃないか?ここでさらに仲良くなってお家にお呼ばれして告白されてラブラブエッチかと思いきやお兄さんキャラ変わってお前をずっと調教したかったんだってきゃ〜〜。
ここまで妄想してウハウハした俺は、お兄さんに尋ねていた。

「あの、珈琲屋のお兄さんですよね??」
「チッ。」

え。いま舌打ちした?やっぱあれ?お兄さん実は鬼畜キャラ?お店だとあんなに紳士なのに?あーー。思った通り。ぜひ調教してください。猿轡も首輪もなんだって付けます。射精管理とかされたい。あ、妄想したら勃ってきたし涎垂れてきた。

「は?誰かと間違えてないっすか?」

少しバカにしたような口調と言葉。
まるでお前なんか見たこともないと言わんばかりの目に、少しだけずきっと心が痛んだ。

あーそっかー、俺はすきですきでしょうがなくて、毎週お店通ってがんばって、こんなチャンス二度とない、プライベートでも仲良くなりたいって思って話しかけたけど、お兄さんは俺をただの常連さんとしか思ってなかったんだなー。そりゃそうだよね。さすがに常連だからと言ってお店の外でまで声かけてくる客とか気持ち悪すぎだよねー。

やべ、泣きそう。
でもそんなときにさえ、お兄さんにこんな風に真顔でエネマグラ突っ込まれたい…!とかちょっと考えた俺は本当に救われない。




微妙な空気にいてもたってもいられなくなって、俺は走ってその場から逃げた。
会わせる顔がなくて、その日はお店に行けなかった。


帰ってから俺は、あの真顔のお兄さんに酷く犯される妄想で抜いた。

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