先導姫





※引き続きTOGパロ
途中分岐します



それから二週間の時を経ていた。
公民館のステージを借りて劇をやるとこれまた思い出したように言いだした店長はミサキに襟首を掴まれながら「今頃言うな」とお咎めを受けていた。


「ヴァンガード界の有名人が揃って、意外と豪華キャストだよなー…」


とか井崎がぼやくと横では森川が何か言って盛り上がっているのを見た。確かにヴァンガード全国大会で注目された2チームである。

そして公民館の簡単な劇など見る人などいないだろうと軽視していたアイチ等はあまりの客に驚きに目を見開いていた。無理無理と言いだすアイチを尻目に遂に劇の開始を告げるブザーは鳴ってしまった。






『むかしむかし、あるところに先導姫という異名を持っているそれはそれは美しい姫がいました』


台本を舞台の下からカムイは読んでいた。舞台裏では子分達が小声で応援しつづけている。
舞台の幕は上がり、学芸会のワンランク上のセットの中に白いドレスを着たアイチが立っている。
白いドレス言えどミサキとアサカが喧嘩と口論を繰り返しやっとの思いで作り上げた合作もので、お洒落盛りな女の子が作っただけあり、クオリティ高い。

舞台から観客の視線が自分へと突き刺さるのを再確認して少し萎縮するも、アイチは胸を張った。


『わ、私はアイチ姫。この地、ユナイテッドサンクチュアリを治める者。』


舞台裏にいる三和は「アイチにしては頑張った!」と早くも称賛していた。引っ込み思案でアガり症のアイチが女装で頑張っているのは称賛に値するかもしれない。
井崎はアイチのそのような点を理解し三和同様称賛を送ることにした。


「櫂とレンはどこだ、そういえば」

「まだ着替えているんじゃない?」


三和が振り返り、アサカに声を掛ければ素っ気ない返事が帰って来た。三和は苦笑いし、二週間前のことを思い出していた。








「お姫様役はアイチ君で決定として………結局王子様役は……」


店長が王子用の台本を手に持ちながら、視線を目配せしていれば双方から手が上がった。
今までになく真剣な櫂と優雅に手を上げるレンである。三和はある意味諦めいいのか必死な二人の威圧感に負けたのかアイチに「後でほっぺにちゅーしてくれよ!」とだけ言っていた。


「なんだ、レン………お前は魔女役が似合うんじゃないか?」

「ごめんね、櫂……王子様と言ったら僕だから、ねぇアイチ君?」


全員が置いていかれたような白熱した言い合いに店長はおもしろそうに笑っていれば、ミサキから睨まれて気を引き締めた。


「な、ならアイチ君に決めてもらいましょう! 相手役はアイチ君が選んだ方がやりやすいでしょう?」

「えぇ!」


戸惑うアイチに櫂とレンは容赦なく問い詰める。その必死さはアイチでなくても圧倒されるだろう、彼らはアイチを壁際まで追い詰めていた。


「えっと、僕は……」



「櫂君かな…?」

「レンさんかな?」









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