花より争い








アイチ曰く、桜を見に行きたいとの事だ。
もうこの季節になったら桜なんて咲いていないんじゃないかと、心の奥ではそう思っていたが実際は咲いている地域もあるようだ。

アイチがぜひって言うから、俺はアイチとの花見デートを楽しもうと思っていたのたが、うまくは行かないようだ。


「抜け駆けなんてお前には十年早いぜ!」

「そうそう、アイチ…お弁当作って来たから、良かったら食べて」

「ありがとうございます」


櫂をいい感じに交わした気でいたら次に現われたのはクソガキさんと店員のねーちゃんだった。
店員のねーちゃんに関しては弁当まで持ってきて本格的に邪魔をしようという魂胆だろう。


「なんでいるんだよ」

「俺のお兄さんになんか良からぬものがくっつきそうだからだ」

「私の可愛いアイチは渡さないよ」


この会話、何かおかしい。
そう思いながら公園に咲き誇る桜を見上げた。アイチは「友達と花見なんて初めてー」なんてこの緊迫した状況下で能天気な発言をしていた。

どうやら俺が圧倒的不利な戦争が静かに始まろとしていた。




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