惑星クレイパロ 11 会いたいと言って会えるような身分ではないのは重々承知の上だ。ましてや最大敵国ともなれば話はさらに困難となるだろう。 櫂がアイチと会うことなど叶わない。 送ってくるのは身を案じる手紙ばかりで、ここのところ顔さえ見てはいない。 「どうした」 「いや、別に……」 櫂の隣に陣取る緋色のドラゴンは櫂を見るとすぐに案じる。すぐに見抜かれているような視線は治まり、また沈黙が訪れた。 「シャドウパラディンと言ったか………」 「なんだ」 「周りでも暴動が絶えないと聞くが実力はいかほどなのだろうか………一度剣を交えてみたいものだ」 「……………」 緋色のドラゴン、かげろうの切り込み隊とも言われるドラゴニック・オーバーロードは戦いの好奇心からかそう言い始めた。 しかし櫂は答える気にはなれなかった。シャドウパラディンのことを知り、一度は恐ろしさに触れたからである。 「まだ、お前でも適わないだろう」 時間が必要だ。 シャドウパラディンを、そのヴァンガードを報復させる力をつける為の時間が。 昔、助けた少年の顔を思い浮かべながら、彼の髪と似た色身の空を見た。 |