心の欠片―プロローグ―



もうすぐ終わる。

長かった『生徒会』と『五奇人』の戦いは、『生徒会』の勝利によって幕を閉じる。

『五奇人』が幸せになれるシナリオもあった。『魔法使い』が書いたシナリオを『奇術師』は受け取らなかった。

皆が幸せになるには、最後に自分が倒されないといけない、と。

理解していながら『魔法使い』に半分肩を置く『魔王』が説得しても無駄だった。



「『あの子』はきっと怒っているでしょうね」

「お前には怒ってね〜よ。一番腹に立ててる相手は俺だろうからな。『あいつ』に臆病者のレッテルを貼り付けたのは俺だから」

「臆病者なんかじゃありませんよ『あの子』は。最後に会った時こう言われました。

『零が、奏汰が、渡が、宗が、夏目が知っててくれるだけでいいと』…ね」

「そうか…」



二人の脳裏に浮かぶ一人の姿。血塗れになってでも立ち向かおうと、彼等を守ろうとした『あの子』は、『魔王』が逃がしたが為に『臆病者』のレッテルを貼られた。

『魔王』と『魔法使い』と別れた『奇術師』がステージへと上がった。観客から発せられるブーイングの嵐。不思議と恐怖も絶望もない。対峙する『皇帝』に対しても。

助っ人を頼んだ後輩が『奇術師』を呼んだ。振り向いた彼が見た光景―――



「私は幸せ者ですね。我らが『魔王』に看取ってもらえるだけでなく、私が…いえ、我らが愛した『怪物』と共に最後の舞台に立てるのですから」



最後に見た光景を目に焼き付けて

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