飛段






 「ゲハハハァ!!!だせーな名字!!」

 開口一番、イラッとする煽りを飛段に投げかけられるが生憎私は反応する程体力は残っていなかった。一ヶ月の長期任務帰りで疲れているのだ。ギリギリの戦いで体はズタボロで、じっとりと血液が暁のマントに染み込んでいる。今すぐ風呂に入って寝たい。やっとの思いでアジトまで辿り着いたのに最初にエンカウントする相手が飛段とはこれまたツイていないなあと心の中で文句を垂れた。

 「おいおい無視かよ?つっまんねーなあー」
 「うるさい話しかけないで」

 飛段が目を見開き不思議そうに片眉を上げる。普段の私ならば、こういう挑発には一言たりとも絶対に返事をしないからだ。しまった、と思った頃には時すでに遅し。反応すればするほど煽り性能を上げていくコイツはとんでもなく面倒くさい。主にデイダラと飛段のやりとりを見ていればわかる。銀髪男の口角がみるみる上がっていき、ついでに機嫌も上々のようで。やってしまった。

 「名字ちゃーん?俺寂しかったんだよなァ、久しぶりに遊ぼうぜ!」


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