Tiger x Lotus | ナノ

06 

虎は玄関で僕を抱き締めた後、肩に僕を担いで階段を上がった。部屋に入るなり降ろされた場所はベッドの上だった。

「蓮」

待ってと言う間もなく、大量のキスが落とされる。唇から耳へ、そして首へ、するすると滑っていく虎の舌。僕に跨がる虎の手は体を支えるために布団を掴んでいる。もう片方は僕の背中と布団の隙間に埋められているため、虎は口で器用にシャツのボタンを外していく。

「虎、まっ…」

「ん?」

「っ、」

露にされた胸元へ舌を這わせながら、上目遣いで此方を見る彼。その光景があまりにも淫靡で、思わず口を噤んでしまった。

「は、ぅ…ん……」

いつものように鎖骨に歯をたてたあと、胸の突起を執拗に舐められ体が跳ねる。こうして体を重ねるほど、僕の体は虎に作り替えられていく。それを感じるのが、ひどく背徳的で、気持ちいい。

「は、ぁ…はぁ…」

けれど、何度体を重ねても慣れない。熱くて、脳みそが沸騰してしまいそうで。跨がったまま虎は上半身を起こし服を脱いだ。両手で捲り上げる脱ぎ方、それも必要以上に妖艶で、熱い顔がさらに熱くなった。

「と、ら…ふ、ぁ…」

再び僕の唇へと沈んできた虎は、舌を絡めながらカチャカチャと音をならしてベルトを外した。この行為への羞恥も無くならなくて、僕は虎の背中に腕を回した。僕だけにくれるキスを受けながら、しっかりと広い背中にしがみつく。はだけたシャツが邪魔だったけど、一瞬も離れたくなくて、そのまま必死に縋った。

「胸だけで、こんなになったのか」

「っ、や…だ……」

離れた口は、僕の耳元で悪戯に囁き、耳の裏を舐め上げた。僕がその声に、その場所に、弱いと知っての行動だ。
全身に駆け巡る痺れに腰が疼く。虎の大きな手は既に、熱く質量を増した僕のものをしっかり包み込んでいる。
温度の低い手が、ゆっくりと僕を揺さぶる。そこはすぐに濡れ、ズボンと下着が完全に脱がされてしまった。

「待って、も、と…ゆっくり…」

「一回だせ」

「っ!…んん、」

扱く速度が早くなり、内腿が震える。

いつもそうだ。先に一度、僕を射精させ力の抜けた所へと侵入する。でも確かにその方が、無駄に力まなくて済む。でも、そんな気遣いはいらないから、めちゃくちゃに抱いてほしいと思う僕は、とても恥ずかしい。

「ぁ……いっ」

虎の手の中に熱いものを吐き出せば、彼は満足げに僕を見下ろし、額にキスを落とす。僕はそれが、何よりも嬉しい。それから、どこからか引っ張り出してきた潤滑液を、開いた僕の足の間へ垂らす。

「んっ…」

「……蓮」

「な、に…?」

ゆっくりと僕の中へ指を侵入させながら、虎は何処か不安げに名前を呼ぶ。けれど、それから返事はなかった。

「は、ぁ…」

前戯が終わったところで、虎は自身に避妊具を被せ、僕の膝の裏をしっかり掴んだ。大きくて熱いものが、そこにあてがわれる。その異物感に息が止まると、すぐに「力」と、呼吸を促された。

「ふ、…んぅ……」

「痛いか」

「だい、じょ…あっ」

指よりも深いところへ到達したそれは、全て僕の中に入ってから動きが止まった。けれど、息を整えても、虎は動かない。

そんな彼を見上げていたら、僕は抱き起こされていた。そのままキツく抱き締められ、僅かに汗ばんだ首元へ顔を埋める。向き合うように虎の腿に座る状態、俯いて、見えるのは僕の膨張したものだけだ。恥ずかしさに思考回路がショートしそうだった。

「っ、虎?」

繋がったままの所が、じわりじわりと熱を広げる。

「え、あ…ん」

そのまま体を上下に揺すられ、虎の背中に回した腕に力が入った。下から突かれ、それは確実に僕のいいところを狙っている。

「あ、ぁ…」

与えられる震動に、声は簡単に漏れてしまう。
それでもなるべく出ないよう、虎の肩へ唇を押し当てる。
苦しいくらいに抱き締められて、さっきの不安げな声を思い出した。虎も、何か不安に思うことがあるんだろうか…僕らのこの関係に対して。

「と、ら…苦し…」

「っ、悪い…」

僕の一言で、それまで密着していた肌と肌の間に隙間が出来てしまった。けれどそのおかげで顔はよく見えた。

「どうし、たの」

「……」

返事がないことに不安が生まれる。体の奥で、黒い霧みたいなものが、むわりと広がるような感覚だった。女々しいな、と思いながらもその口が開くことを願った。

「……考えてた」

「……なに、を?」

「蓮が…」

僕の腰を掴んでいた手が、脇腹をなぞり、胸、そして首から耳へ、滑ってきた。顔を固定された僕を、じっと見つめたまま虎は言うのだ。「俺から離れていかない方法」なんて、柄にもないことを。

「蓮が好きすぎて、怖い」

その言葉に、涙が出そうになった。何かが胸を締め付けて、離さない。
距離を埋めるように、虎は再び僕を抱き寄せた。そのまま律動を再開させ、僕の中をかき乱した。耐えきれずに、僕はまた簡単に吐精してしまった。それは虎のお腹を濡らしいやらしく臍へと流れ込んで下腹部へ垂れていった。その次の瞬間に虎はもう僕から出ていて、お尻にぴくぴくと痙攣する熱いものが当たるのを感じた。

「ん、はぁ……」

「は、ぁ」

「ごめ……お腹、汚しちゃった…」

「……」

「っ、へ…ぁ」

汚れてしまった彼のお腹を指でなぞった途端、体を倒されてしまい、コンドームを付け替えた虎がもう一度入った来た。

すぐにぐちゅぐちゅと卑猥な音が室内に響き、玄関でした溺れるくらいのキスを、またしたくなった。その音が聞きたくなかったのか、恥ずかしいから他の事に集中したかったのか、よく分からないまま…僕は虎にキスをねだっていた。

「ん、ぁ…はぅ」

虎のものは僕の中でどんどん大きくなって、窮屈そうに出たり入ったりしている。

苦しくて、でも幸せで。
苦しくて、だけど繋がっていたくて。

不安がる虎が居ると知れただけで、小さな自信が生まれた。離れない自信があるのだから。堕ちる場所が何処かなんて、どうでもいい。虎と一緒なら、どこだって。その想いが、はっきりとした形になっていく。

(言いたい事はたくさんあるのに)
(声になったのは情けない一言だった)
とにかく、俺の全ては蓮だから


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