同居始めました | ナノ






私達が青葉城西高校に入学し、


しばらく経ってから一静君はバレー部に
私は一応、美術部に所属した。
たまにデッサンに参加出来たらいいな、
という気持ちでとりあえずの入部だ。


と、言っても最近は締め切り間近で
放課後は美術部に行く暇すらない。

学校が終わってはすぐに帰宅し原稿を描く。
食事も睡眠も忘れる程、ずっと机に向かった。




「あともう少し……。」


学校と漫画家の両立は思っていたより
とても大変だった。
睡眠不足で授業中に寝てしまったり、
うっかり宿題を忘れてしまったり、
締め切り前には体力も削られていた。


正直、今はもう……眩暈がしてしんどい。




「う……。」



でも、漫画を描くのはやめたくない。

好きで描いているんだし、
母に無理言って続けさせて貰ってるし、
担当さんも頑張ってくれてるし、
私より先に担当さんが倒れないか心配だし……。




学校、漫画、学校、

漫画、学校、漫画……。


学校が終わって、漫画を描く。
そんな毎日が続いた。





「……お、なかすいた」

「葵さん、御飯出来たよ」

「……いつもありがとう一静君」


最近、とても助かっているのは
一静君が御飯を作ってくれる事だ。
しかも凄く美味しい。
私が作るより美味しい。





「……顔色悪いけど大丈夫?」

「……大丈夫、一静君のおかげで御飯を食べ忘れる事もないから……前はよく食べ忘れてやばかった」

一静君と一緒に御飯を食べながら、
彼に「ありがとう」とお礼を言った。





「でもごめんね、一静君も部活で忙しいのに」

「俺は全然平気。出来る事があったら何でもするから言ってね」

「……一静君」


なんて良い人なんだろう。

この前まで、バレー部は強豪だから練習がキツイって言っていたのに、嫌な顔せずに私の世話をしてくれるなんて。

ああ、もう御飯が美味しい。





「締め切り間に合いそう?」

「うん、おかげであともう少しで終わるよ」

「それは良かった」

「一静君は部活どう?」

「凄く部員数多い、あと凄くバレーが上手いイケメンがいた」

「イケメン!?」

「うわ、そんなに食いつくとは思わなかった」

「だってイケメンだよ!」

「……え、やっぱり葵さんもイケメンの方が好きなの?」

「少女漫画のヒロインの相手と言えばやっぱりイケメンだよね!私もよくイケメンに描いちゃうし」

「えっ」

「イケメンってやっぱり優しくてスポーツも出来て頭が良いのかな?女の子にモテて大変だったりするのかな?女の子の取り合いになったりするのかな?あーもう、是非今度描く漫画のモデルになって欲しい!」

「……ああ、漫画の為にね。でも確かにファンの女の子に囲まれてたよ」

「王道だね、凄く格好良いんだろうなぁ。やっぱりネットや資料だけじゃイケメンの生態について詳しく分からないからデッサンさせて貰えないかなぁ」

「……どうだろう」

(なんだろう、理由はどうあれ葵さんがイケメンに凄く興味を持っている……俺はただの男子高校生だから葵さんの役には立たないかな)



はぁ……と、箸が止まった。
目の前の彼女はうーんと、考えているようだ。
まぁ、きっと漫画の事だろう。
彼女はいつも漫画を描く事に一生懸命だから





「(俺もイケメンだったら、葵さんの役に……。)」

やたら大人っぽい顔は嫌いではないが、
少しばかり、イケメンの及川に嫉妬した。





「葵さん、漫画頑張ってね」

「うん、ありがとう……でも、あの、一静君にお願いしたい事があるんだけどいい?」

「勿論、俺に出来る事ならなんでもどうぞ」

食後のデザートかな?と思ったが
どうやら違うらしい。





「ちょっと制服姿をデッサンさせて貰えないかな……?こう、色んなポーズの」

「……ポーズ?」

「腕を組んだり、壁ドンとか、そういうポーズなんだけど、一静君はリアル男子高校生だし、背も高くてスタイルも良いし、やっぱり……嫌かな?」

「……俺でいいなら」

「本当!?」

「うん、服を脱げばいいの?」

「ぬ、脱がなくていいよ!制服で、制服でお願いします!」

「そっか、わかった」

「でもこんなにも一静君があっさりと引き受けてくれるなんて……もっと早くにお願いすれば良かったよ」

「葵さんの為なら頑張るよ」

「ありがとう、一静君」

こんなに身近に男子高校生のモデルが居るなんて凄く贅沢だなぁ、しかもスタイルいいし……。なんか高校生とは思えない色気出てるけど。


にしても一静君はやっぱり優しい。





よーし、あともう少し
私も漫画を頑張ろうかな。




(一静君、意外と筋肉あるね…あ、脱がなくていいです、恥ずかしいですごめんなさい)




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