同居始めました | ナノ 17




最近、とある女子生徒に付きまとわれている。と言っても質問をされるだけだけど。

今日は、好きなアーティストとか
布団派かベッド派とか聞かれた。




「……岩ちゃん」

「なんだ」

「なんか最近、変な子に付きまとわれてるかも」

「なんだ女か? 自慢か?クソ川」

「なんで俺いきなり悪口言われてんの!?」

「クソ及川」

「なんで言い直したの!? これでも俺、岩ちゃんに悩みを聞いて貰おうとしただけなのに!」


部活の休憩中に、岩ちゃんに相談しようとしたらいきなり悪口を言われた。何故かマッキーも松つんも俺を見て笑ってた。


「クソ川」がそんなに面白かったの!?






「良かったじゃん及川、女の子に付きまとわれて、羨ましい限りだわ」

「良くないよマッキー! なんかすっごい質問ばっかりされんだよ! なんか怖いよ!」

「へぇ、それだけ及川の事好きなんじゃねーの? 良かったじゃん」

「あのね松つん、そうかもしれないけど毎日毎日質問攻めにあってたら流石の俺も辛いよ!」

「クソ川、女に付きまとわれて浮かれてんじゃねーよ」

「俺のどこが浮かれてるの岩ちゃん!?」


困ってるんだって!女の子に付きまとわれた事のない岩ちゃん達には到底、理解出来ない悩みかもしれないけどさ!






「でもよー、及川」

「何、松つん」

「そんなに嫌なら、嫌って言えばいいじゃん。何で言わないんだ? 言えば流石にその子も分かってくれるだろ」

「それはっ」


そうかもしれないけど。





「あ、分かった」

「え。マッキー、何が分かったの?」

「もしかしてさ、その子可愛いんじゃねーの?」

「え」

「どうなの及川」

「……まぁまぁ、可愛いかな」

「ほらな、お前もやっぱ男だわ。いくらしつこい女の子でも可愛いから追い返せないんだろ」

「それもあるかもしれないけどっ、どうやったらあの子を傷付けずに、俺に構わないようにするかを聞きたいんだけど」


そう、出来ればやんわりと断わりたい。そりゃ可愛いかもしれないけど。俺の事をすっごい好きなんだろうけど。俺は今はバレーがしたいし。でも、あの子そこそこ可愛いかったなぁ。







「というわけでどうしたらいい!?」

「「「爆発しろ」」」

「ひどっ!」

「可愛い女の子に付きまとわれて困ってます、って言われて、はいそうですかって相談に乗るわけねぇだろクソ及川」

「岩ちゃん!?」

「ムカつくから女紹介しろ、いっぱいいるだろ」

「ファンの子は駄目だよマッキー!?」

「及川、女の子は泣かすなよ」

「松つん……うん、泣かせないようにする」


なんか松つんって大人だなぁ。




「松つんって凄く優しくて大人っぽいのに、なんでモテないんだろうね……。」

「うるせぇよ」

「でも松つんって俺より早く彼女作りそう」

「はいはい」


でもきっと松つんは彼女作る気なさそう。なんとなくだけど。





「大体、俺の事好きだからって毎日毎日質問攻めは辛いよ」

「じゃあお前が自分でなんとかしろよ」

「岩ちゃん助けてくれないんだね…ん?」


ふと、体育館の入り口を見ると
見覚えのある女子生徒がそこにいた。





あの子だ。




「え、なんでここに」

まさか部活中にまで俺に会いに!?
そんなに俺の事好きなの!?




「参ったなぁ」

「どうした?」

「岩ちゃん、ほら例の女の子が部活中にまで俺に会いに来たみたい」

「あの子が?」

「お? どの子?」

「ほら、マッキー。こっちに向かって来てる子」


参ったなぁ、あの子ってば
真っ直ぐ俺の所に向かって来てる。

やっぱりモテる男は違うね!




さぁ次は何の質問に答えればいいのかな!











「一静君っ!」

「葵さん、どうしたの?」

「(ん? あれ? 一静君?)」


何で松つんに話しかけてんの?
俺に用があるんじゃないの??

ていうか松つん知り合いだったの??





「実はお母さん、そろそろ赤ちゃんが産まれるみたいなの、私は今から病院に行くつもりなんだけど一静君はどうする? 一緒に病院行く?」

「わかった、じゃあ一緒に行こう」

「ありがとう、助かる」

「急いで着替えるから部室棟の所で待ってて、すぐに戻るから、つーわけですまん俺先に帰るわ」

「え、あ……うん、お疲れ様」

「またなー」(花巻)
「お疲れー」(岩泉)



あれ?
どういう事かな?

俺の事を大好きなあの子も松つんと一緒に体育館出て行っちゃったけど!?





「おい、及川」

「なに、岩ちゃん」

「今の子が、お前に付きまとっている女子生徒なのか?俺にはそうは見えなかったぞ」

「うん、俺も。いや、でも本当にあの子なんだってば」

「真っ先に松川の所に来てたぞ」

「来てたねぇ……松つんの知り合いかな?」

「……っ、くく……。」

「ちょっとマッキー!?なんで笑ってんの!?ねぇって!なんか知ってんの!?」

なんで笑いを堪えてんの?
そんなに俺が面白おかしかった???
ちょっと恥ずかしいんだけど!




「……なぁ及川、本当にあの子はお前の事好きなの?」

「そうだと思うよ、だって俺に興味あるって言ってたし!」

「へぇ、そうなんだ……ふーん」

「ちょっとマッキー……?絶対何か知ってるでしょ?今の子知ってるの?松つんとどういう関係なの?っていうかなんでマッキーは笑ってんの?」

「そりゃあ面白かったから」

「マッキー……。」

「まぁまぁ、あの子が及川をどう思ってるのかは置いといて、お前あの子の名前知らないんだな」

「?」

「松川葵ちゃん、松川の親戚だよ」

「松つんの親戚!?あの子が!?」

なんていうか……。
ぜんっぜん似てない!!




「俺が思うに、及川はあの子の眼中にもないと思うけど?」

「そんなの分かんないじゃん」

「あれ?お前あの子の事、付きまとわれて迷惑してたんじゃなかったの?」

「……してたよ!」

してたけど……なんか面白くない。
松つんにあっさり取られたみたいで。


……面白くない。





(俺に興味あるって言ったじゃん!)



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