16
休み時間に私はイケメンを廊下で見つけた。いざ手にメモ帳を持っていざ出陣。
「及川君」
「ん?」
「聞きたい事があるんだけどいい?」
「いいよ、えっと(誰だっけ)」
「及川君の好きな食べ物は?」
「食べ物? うーん、牛乳パンとかラーメンとか、かな」
「ふんふん、もしかして甘党?」
「(メモ帳?)そういうわけじゃないけど」
話しかけてきた目の前の女子生徒は、質問の答えをメモしているようだった。
「じゃあ好きな色は?」
「うーん、青城カラーは嫌いじゃないかな」
「ミントグリーン?」
「そうそう、そんな感じ」
「ふんふん、じゃあ好きな女の子の好みは?」
「活発な子も大人しい子も真面目な子もみんな好きv」
「女なら誰でもいいと、なるほど」
「いやいや! そういう意味じゃないから!」
なんなのこの子なんか怖い!
「私が言う事じゃないけど女遊びもほどほどにしないと後が怖いよ」
「いやまぁそうだけどさ、まさか俺も初対面の子に言われるとは思わなかったよ」
「あ、じゃあ好きな男のタイプは?」
「なにその質問!? 俺別に男に興味ないけど!?」
「そういうのいいから、好きな男のタイプ教えて」
「いやいや! ないから好みとかないから!」
「岩泉君とかタイプ?」
「なんで岩ちゃん!?」
岩ちゃん関係ないじゃん!
ていうか岩ちゃん男だし俺は男に興味ない!
「岩ちゃんは幼馴染なだけでそういう関係じゃないから」
「え、幼馴染!?」
「ちょ、なんでそんなにメモしてるの!? 今の話の中のそんなにメモする事あった???」
「あるよいっぱい!」
「ええええ……。」
どうしよう、凄く逃げたい。
でもこの子は俺のファンかもしれないし。ファンの子は大事にしないといけないし。
「ねぇ、及川君は休みの日とか何してる?」
「え、いや……普段はバレーで休みはほとんどないっていうか」
え?なんで急に休日の話??
もしかして俺、誘われてる?
「そうなんだ、じゃあ女の子とあんまり遊んでないんだね」
「まぁ、たまにしか。ほとんど部活だし」
もしかしてこの子、俺の事好き?いやだって好きな女の子の好みとか聞いてくるし、好きな食べ物とか色とか聞いてくるし、でもどうして好きな男のタイプを聞いてきたかは分からないけど、謎だなぁ。
でも今までの質問を考えると
絶対、この子
俺の事好きだよね!?
「(モテる俺って罪深いなぁ)」
「じゃあ及川君は彼女いないんだ?」
「(ほらやっぱり)うん、今はいない」
これ確実に俺の事好きだよね?
俺の彼女を座を狙ってるよね??
「へぇ、そうなんだ、意外だった」
「そう? ていうかあのさ」
「ん?」
「俺の事、どう思ってる?」
「どうって?」
「いや、その、急に話しかけてきたから、俺の事興味あるのかなって」
「ああ、そういう事、ごめんね急に話しかけて」
「それでその」
「うん、私ね及川君に興味があって話しかけたの、及川君ってほら格好良いし」
「えっ」
「ん?」
「いや、うん……ありがとう」
やっぱりそうだったんだ!この子、俺の事好きで興味があったから初対面なのに話しかけて来たんだ。こんなに積極的な子は久しぶりだなぁ。いやファンの子も結構俺に話しかけてくるけど
……ていうかなんでメモしてるんだろう。
メモしたいくらい俺の事が大好き!?
俺の情報は忘れたくないくらい好き!?
俺すっごい愛されてる!?
「及川君?」
「えっと、君の気持ちは嬉しいんだけどファンの子もいるし俺の気持ちを一人に絞るわけにはいかないし……ごめんね」
「え? うん、ファンの子は大事にした方が良いと私も思うよ」
「だからごめんね」
「なんで謝ってるの? お腹痛いの?」
「……別に痛くはないけど」
あれ?
やんわり好意を断ったつもりだったんだけど
なんか通じてなくない??
「ねぇ、及川君」
「な、なに?」
「私、及川君の事をもっと知りたいんだけど、教えてくれない? 今後の為にも」
「えっ」
今後の為にってどういう事!?
これから先、なにかあるの!?
俺どうなっちゃうの!?
「……えっと、その」
「駄目?」
「(あ、よく見たらこの子可愛い)」
……じゃなくて!!
この子の思い通りになんかなっちゃ駄目だよっ!!俺にはファンだっている!ファンの女の子は大事にしなくちゃ、だからこの子の事も傷つけないようにしなくちゃ!
「及川君は胸の大きい子と足の綺麗な子、どっちがタイプ?」
「え?……足の綺麗な子」
「なるほど」(かきかき)
「(ま、またこの子のペースに持っていかれた。)」
ていうかこの子、誰なのさ!
(岩ちゃん助けて!)
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