同居始めました | ナノ 11




放課後、私は今

バレー部のいる第3体育館に来ています。



何しに?

勿論、噂のイケメン君の観察をしに!





「やばい」

「そうね」

「やばいやばいやばいやばい」

「葵、とりあえず落ち着いて」

「無理、何あれバレーも上手いとかイケメン補正どんだけ付いてるの!?」

「イケメン補正?」

「イケメンは頭が良くてスポーツも出来て優しいっていう補正が付いてくるもんなの」

「ああ、漫画の話か」

「なのにあの及川君は顔だけじゃないってのが分かった。まぁ性格は知らないけど、さっきも凄いサーブ打ってたし凄い人だよねぇ」


さっきから隣にいる女の子達も
どうやら及川君のファンらしく
ずっとキャーキャー言って手を振っている

まぁ私も騒いでるから似たようなもん。
流石にファンではないけど。






「よし、私も及川君に向かって手を振ってみよう」

「マジかよ」

「あ、ほら、及川君も振り返してくれた」

「マジかよ」

「優しいね、及川君。あれはモテるでしょ」

「でしょうね、顔ならSランクだよあれは」

「おお、高評価! っていうか何? ランクとかあんの? 初めて聞いた」

「気にしないで」

「はーい、ていうかやっぱりバレー部は背の高い人多いねぇ、あ、一静君みっけ。」


一静君がバレーやってる。
まぁバレー部だから当たり前か。
あの辺はみんな一年生かな?
一静君、背が高いから目立つなぁ。
にしても及川君イケメンだな。






「うーん」

「どうしたの? もう飽きた?」

「いや、及川君の顔は見てて飽きない」

「あーそう」

「なんかね、及川君をずっと観察してて思ったんだけど、及川君はどちらかといえばヒロインに向いているかもしれない」

「なにそれ、及川は男でしょ?」

「ほら、あれ見てみ」


上から、及川君の様子を見下ろす私達。そこにはイケメンの及川君とその及川君に怒り散らす短髪の男。


なんとも男らしい人だった。





「あれはあれでまた男らしい感じで格好良いね、あ、及川に向かってボール投げてる。うわぁ容赦ないな」

「あのイケメンに向かって容赦ない攻撃、うん見ててなんか清々しいよ、なんでだろう」

「さぁ」

「とりあえずメモっておこう」


メモっていると、どうやら部活は終わったようで、上で見ていた女の子達はワッと下に降りて及川君に向かって行った。




「しまった出遅れた!」

「え? 及川に用だったの?」

「うん、イケメンについて色々聞こうと思って、あと写真も撮りたい。資料用に」

「本当に漫画を書く事しかないのね葵の頭の中には、まぁなんとなく分かってたけど」

「貴重なイケメンだよ、参考にしたいじゃない」


残念ながらそのイケメンは今はもう女の子達に囲まれて、近付く事も出来ないけどね。




「ねぇ、葵。私そろそろバスの時間だ」

「え、もうそんな時間?」

「ごめん、先に帰るね」

「こっちこそ付き合ってくれてありがとう!」

「また明日!」


また明日、と言って私は友人と別れた。
さてこれからどうしようか?

及川君には話しかけれなさそうだし、ああでもやっぱり及川君イケメンだなぁ。






「葵さん」

「ん? あ、一静君。お疲れ様、上から見てたよ」

「うん知ってる、でもほとんど及川の事を見てたよね」

「あれ? なんで知ってるの?」

「こっちからも葵さん見てたから、葵さんの視線辿ったら及川を見てたし、ちょっと妬いたかな」

「え、ごめん……でも私も一静君の事見てたよ」

「及川のついででしょ? で、どうだったうちのバレー部のイケメン及川は」

「うんすっごく格好良いね及川君、前に一静君が言ってたイケメン君と同一人物でしょ?なかなか居ないよねあんなに綺麗な顔立ちのイケメン」

「ソウダネ」

「一静君? どうしたの?」

「どうもしないよ」

「あのね、一静君のバレーもちゃんと見てたよ? 背が高いからすぐに一静君の姿を見つけたし」

「……。」

「い、一静君?」

「ごめん、実は少し拗ねてた。着替えてくるからちょっと待ってて一緒に帰ろう」

「うん、待ってる」


部室に向かった一静君に手を振って、着替え終わるのを外で待った。すぐに一静君は部室から出てきた。




「あれ? 松川の彼女?」

「ん?」

松川君と部室から一緒に出て来たピンクっぽい髪色の部員に話しかけられた。




「花巻、彼女じゃないから」

「そうなの? いつ彼女になんの?」

「さぁね。葵さん帰ろう」

「え? ああ、うん」

「松川またなー、彼女今度紹介しろよ!」

「気が向いたらなー」


バレー部員にそう言って、一静君は私と一緒にマンションへと向かった。






「ふふ、私は一静君の彼女だって」

「あー……うん、ごめん。花巻は冷やかすのが好きな奴だからあんまり気にしないで」

「そうなんだ? まぁ私が一静君の彼女とかまずありえないから気にしてないよ」

「……ありえないの?」

「うん、だって私は女の子らしい所ないし、生まれてこのかた恋愛イベントも全く無いし。もう漫画が恋人だしね。一静君は可愛い女の子と恋愛した方が良いよ」

「……恋愛ねぇ」

「今日は野菜炒めにしようかなー」

「手伝うよ」

「ありがとう!」



私にも恋愛イベントが来ないかなと思いつつ
今日も明日も漫画を描く。





(異性と同居イベントが起こっていますよ)
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