同居始めました | ナノ 10




「そういえば次のテストでさー」

「範囲広いよねー」


友人のゆーちゃんと一緒に緒に廊下を歩いていると、女の子の人だかりがあった。

廊下を埋め尽くすような人の多さにげんなりしたが、一体何だろう……と人だかりの中心をちらりと見た。






「あ……。」


イケメンだ!!!



「どうしたの、葵」

「ちょ、あれ、凄いイケメン!うわ何あれ超イケメン!目ぇおっきい!肌綺麗!何あれ生きてんの!?」

「落ち着きない」

「はい」


イケメンを見て騒いでいるとゆーちゃんに怒られた。はい、うるさくてすみませんでした。




「確かに相変わらずイケメンだねぇ」

「え?あのイケメンを知ってるの?」

「知ってるも何も超有名人!」

「え!」

「入学式もあのイケメンで女の子達が騒いでいたじゃん」

「え、そうなの?入学式終わってすぐ一静君と帰ったから知らない……。」


そういえば一静君がバレー部にイケメンがいたって言ってたけどあのイケメンの事なのかな?


うん、あれはイケメンだわ
女の私からしても羨ましいくらいに
凄く整った顔をしている。



何なのあれ、超イケメン。






「じー。」

「葵、見過ぎ」

「……うん」

「葵?」

「ねぇ、あのイケメンについて何か知ってる?名前とか、有名なんだよね?」

「え、ちょっと待ってまさか」

「うん?」

「……及川に惚れた?」

「おいかわ?」

「あのイケメンの名前、及川徹」

「ああ、及川徹君っていうんだ。」


制服のポケットからメモ帳を取り出して
イケメン君の名前をメモった。





「え、マジで惚れたの?」

「うん?」

「……及川の事、気になるの?」

「うん、気になる」

「え!?」

「女の子の好みとか、好きな食べ物とか、好きな色とか、あと何部だろう?彼女とかいるのかな?」

「……マジかよ」

「ねぇ、及川君について知ってる事全部教えて」


どうしても彼の事を知りたくなったので
友人にお願いしてみると「わかった」と
友人はすんなりと教えてくれた。
あと及川徹君はバレー部だったので

やっぱり一静君が言ってたイケメンと
同一人物かもしれないと思った。







「よし、じゃあさっそく今日バレー部を見に行こう」

「え、行くの?」

「うん。あ、一緒に来てくれる?」

「放課後は暇だからいいよ、私も及川を見るだけなら目の保養になるからね、見るだけならね」

「やっぱりイケメンだよね、及川君」

「お、浮気か、葵ちゃん」

「浮気?」


私、彼氏いないけど?
いたらこんなに毎日のように恋愛漫画のネタ探しなんてしないって。

あのイケメンからはたくさんの漫画のネタが出てきそう早く生態調査をしたい。



「松川君という同棲相手が居ながら他の男に目がいくとか感心しないねぇ」

「一静君は同居人であって彼氏じゃないけど?」

「似たようなもんでしょう」

「いや、全然違うから!一静君に失礼だよ、わたしみたいな女が彼女だなんて!私じゃなくてももっと可愛い女の子はいっぱいいるし!」

「出たよ、卑屈モード」

「う……。だって本当だし」

「でもまぁ、葵が及川に興味があるって事は葵にも恋愛したい願望があるって事で安心したよ。少女漫画描いてる癖に本人は恋愛経験0とか、なんであんな甘ったるくてキュンッとする良い漫画描いてるのに恋愛初心者なのか分からない!」

「え、えと、ありがとう?」

「褒めたよ!」

「ありがとうございます」

「ねえ葵、彼氏いつ作るの?」

「え?彼氏?別に欲しくないけど?漫画描くのに忙しいし、何より私モテないから彼氏は当分無理そうかなあ」

「ああ、及川君は憧れとかそういうアレか」

「ん?」

「まぁいいか、じゃあ放課後見に行こうか、きっと及川君のファンが多いから驚くと思うよ」

「やっぱりイケメンにはファンの女の子は必須なのかな」


メモをしながら、凄いなぁと思った。





そういえばバレー部といえば
一静君もバレー部。

見に行ったらいるかな?
いるよね部活だし。

一静君は背が高いからバレーが似合うだろうなー。あ、一静君にもファンの女の子とかいるかも!だったらあんまり話しかけたりとかしない方がいいよね…?うん、やめよう。





「葵はさぁ、やっぱりイケメンがいいの?」

「どっちかと言えばイケメンかなぁ」

「へー、案外優しい人がタイプとか言いそうなのに」

「いやいや、優しさも大事だけどやっぱり少女漫画と言えばイケメンは必須でしょ」

「ん?少女漫画?」

「少女漫画」

「……ん?」

「及川君とかもう少女漫画から出て来たようなイケメンだよねぇ、是非とも参考にしたい。イケメンっていつも何してるんだろうね?」

「……葵って相変わらず、漫画中心で生きてるのね。」


(そんなんじゃ、いつ彼氏が出来るのやら)






「イケメンにはやっぱり可愛い女の子が似合うよね、ちょっと隣に立って来てよ」

「やだよ恥ずかしい」

「えー」

「ていうか葵も可愛い女の子じゃん!もっと自信持ちなって」

「徹夜で目の下に隈がある女の子は可愛いくないと思います」

「まぁ……でも締め切り近い時だけでしょ」

「はは、今は漫画描いてるだけで充分楽しいからいいよ、彼氏とかそういうの、それに男の人に好きになって貰うのって大変そうだし!」



今は少女漫画の中で恋愛が出来ていればいい、なんて、ちょっと逃げているかもしれない。







(自分の恋愛より、目の前のイケメン調査!)


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