25






今日も暑い中、
各校の練習試合が始まった。




『ふぁ…』

昨日、結構遅くまで研磨君とゲームしてたから少し眠い。でもクエスト進んだし…研磨君はもっとクエスト進めたいって言ってたなぁ、昨日は寝落ちしちゃったけど。
研磨君の布団で寝ちゃったし、迷惑かけちゃったなぁ、気を付けないと。でもなんだろう、男の人と一緒に寝るのってお父さん以外で初めてだったけど、意外と平気だったな私…。寝ぼけてたのかな。
今になって恥ずかしいとか思ってきちゃった。



研磨君が気にしていないようだったのが、救いだ。








『…はぁ』

「大丈夫?」


欠伸を連発していると梟谷のマネージャーの女の子に心配されてしまった。




『うん、少し眠いだけ。』

「そう?…生川のマネージャーの子が体調悪いみたいだから…如月さんも無理しないようにね」

『うん、ありがとう』


体調不良か…私も昨日ちょっと体がフラついたから気を付けないと。今までの運動不足がこんな所で発揮されるなんて…いや違う、これは暑いのがいけないんだ。きっとそうだ。



「葵?」

『ハイ、研磨君』

「ありがとう」

今日は練習試合に出ている研磨君にスポドリのボトルを渡した



「ねぇ…葵」

『ん?』

「顔色悪い」

『え』

そうかな?さっきトイレで鏡を見た時はそう思わなかったけど。






「…あのさ」

『今日も暑いね。』

「え」

『今日も頑張るよ、私』

笑顔でそう言って、
得点係の手伝いに向かった。





「…葵」

「あいつなりに頑張りたいんだと、心配なのは分かるけど見守ってやったら?」

クロに肩をポンと叩かれ、何も言わずただ葵の背中を見送った。




「…なんかあったらお前が側に居てやればいいだろ。いつもみたいにさ。助けてやったら?」

「側に…」

「何?」

「俺に、出来る事なんて…」

ふと梟谷のセッターが脳裏によぎった。






梟谷のセッター
多分名前は赤葦…だったと思う。



昨日と今日の練習で気付いた。

赤葦が、 葵の事を目で追っていた。
葵はそれに気付いていないみたいだけど…だって葵はマネージャーの仕事で忙しいから。


ボールが飛び交うコート脇で練習試合をボーっと見ていた。




「…研磨!」

「ッ!」

「聞いてたか?」

「…ごめん、何?」

「コーチが次の試合、研磨もう一回出ろってよ」

「…え」

「色んなセッターを見比べたいんだろーよ。いつも通りのバレーをやってこい。俺も出るし」

「…わかった」

いつも通り…。








『あ、研磨君が、試合に出てる』

練習試合内容を記しているノートとペンに少し力が入ってしまった。だって凄く嬉しいから。
研磨君がトスを上げている姿をこんなに近くに見れるなんて!研磨君が上げたボールをクロ先輩が打った。

綺麗にコートに落ちたボールに、思わずペンが止まってしまった。あ、点数めくるの忘れないようにしないと!





でも、




『かっこいい…』

「何?葵ちゃん俺に惚れちゃった?」

『クロ先輩もかっこいいです』

「…も?」

葵ちゃんからもらったタオルで汗を拭きながら、チラッと研磨を見た。夜久と話しているみたいでこっちの会話は聞こえていないようだった。





「やっぱ良いスパイク打つなー、黒尾」

「げ、木兎」

「げ、とは何だ!まだ試合は終わってないからな!次のセットは梟谷が貰う!」

「…いちいち喧嘩売らなくていいですから」

『あ、赤葦君、次のセットから出るの?』

「まぁね、そういえば如月さんてさ、」

『ん?』

「彼氏いる?」

『……え?…いないけど』

どうして?



「何だ何だ!赤葦、ナンパか!?」

「木兎さん、声でかいです。あと違います」

「うちの子、ナンパするとは良い度胸だねぇ」

「違います」

「…ふーん」

『えーっと…そろそろ始めましょうか』




ピーッと笛が鳴り、練習試合が再開された。





(今日も暑いなぁ)



[ 26/31 ]

[*prev] [next#]

[ back ]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -