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「葵、次のクエは火耐性がオススメ」

「はーい、ちょっと待って」

「君らまだゲームすんの?」


黒尾先輩はもう寝たいんだけど、




「葵ちゃんも本当は眠いんじゃなーいの?」

「まだいけます、でもあと1クエしたら寝ます」

「……研磨も眠いだろ?」

「まだ寝ない、寝ない、ね、ない」

「眠いんじゃねーか」


いい加減、ゲーム終わらせて寝ればいいのに。あと葵ちゃんはマネージャーの部屋戻った方が良くない?








「……あともう少し。」

「うん……」

「弱って来てるから、もう倒せる、葵そっち行った」

「うん……任せて」

「(昼間あんだけ動いたんだから眠いだろーに)」

「……。」

「……。」



あれ?
なんか二人静かになった?





「おい、研磨、葵ちゃん?」

「「すー……Zz」」



「寝てる!?」



二人のゲーム画面を見れば、クエストクリアの画面。ゲームクリアしたから力尽きて寝たのか!?

ていうかなんで二人共同じ布団でやってんだ?いや、場所が限られてるから一緒の布団でやってたんだろうけど!




夜久「黒尾ー、もう電気消していいかー?」

「え、ちょ、待って」

夜久「消すぞー」


パチン……と教室の電気が消えた。








「(……まぁ、いいか)」


黒尾は隣で眠った二人に布団をかけて、
自分の寝床に戻って行った。


もう面倒になったようだ。



















「……ん、」

ふと目を覚まして、
今何時だろうと携帯を探した。

ていうかなんか動き辛い、


あれ?
俺……昨日いつの間に寝たんだっけ?葵はちゃんと自分の部屋に戻ったのかな?



あれ、なんか布団狭い?




「!」


研磨はもぞもぞと体を動かすと、自分の胸辺りに葵が寝ているのに気付いた。
いや、なんで??とか、意味わかんない!とか色々な言葉が出てきたけど、咄嗟に口に出なかったから俺意外と冷静だな、とか思った。





「(え、なんで俺、葵と一緒に寝てるの)」


あ、もしかして昨日、二人共寝落ちした?

疲れてたし、あり得なくもない。でも寝ちゃったらクロが無理やりにでも起こしたと思うけど。




研磨は自分の体にくっついて眠る葵をどうしようかと考えた。


正直な所、別に嫌ではない。


嫌だったらもうとっくに起こしてるし、引き剥がして、遠ざけてる。とりあえず腕の中にいる葵をぎゅっと抱きしめてみたけど、葵は起きる気配がない。






「(起きたら、葵に怒られるかな俺)」



葵はなんというか、小さいな……と思った。身長は俺の方が高いから当たり前なんだけど、やっぱり女の子は、男と全然違うな。






「(うわ、髪がサラサラ……)」


長い黒髪をとかすように撫でたけど、

葵は起きない。




なんだか眠くなってきて、

そのまま、目を閉じた。


















「研磨ー!朝だ、……ぞ?」

先に起きた山本が寝ぼけながら研磨を起こそうとしたが、研磨の布団にいるもう一人を見て固まった。



「え……」

なんで如月が!?






「あー、研磨と葵ちゃん起きた?」

「え!?いや、ええ!?なんで二人が一緒に寝て!?」

「昨日、二人共寝ちゃってさー、葵ちゃん起こすの面倒……げふんげふん、可哀想だったからそのまま寝かせた」

「だからって女の子と一緒に寝るなんて、その、えっと、不純です!!

「……山本、うるさい」


山本の大きな声で、研磨は目をこすりながら起き出した。そして、隣で寝ている葵を見た。




「……葵、朝。起きて」

「う?……うん」


布団から出てきた葵は目をこすり、ボーっとしていた。

そしてぱちくりと目を開いて、
驚いていた。




「あれ?研磨君?」

「うん、何?」

「……あ、そっか私、寝ちゃった?」

「俺ら二人共、寝落ちしたみたい」

「あらら……ごめん、布団狭かったでしょ?」

「ううん、葵、小さいから平気」

「そう?なら良かった」


二人は互いにそう言い合っていた。







「あれ?俺が思っていた結末と違うんだけどぉ」


ただ一人、
二人の様子に不満を持つ者がいた。

音駒で一番、
寝癖の面白い男、
黒尾鉄朗。






「なんつーか、もっとこう、葵ちゃんが赤面したり、研磨がテンパったりするかと思ったんだけどなぁ」

「クロ先輩……そうですねぇ、驚きはしましたけど、申し訳ない方が勝ちました。研磨君だってこんな事でテンパったりは」

「え、俺テンパってるけど」

「えっ、そうなの?」

「どこがだよ研磨」

「えーっと……」

例えば、葵の顔見れないとか。
手がちょっと震えてるとか。
あと無償にゲームがしたいとか。




「研磨!お前、俺より先に、お、女の子と一緒の布団で寝るとか、う、羨ましい!」

「え、そんな事言われても」

「大体、男子高校生にはそういう女子と一緒に寝るとかはまだ早いと俺があれほど!」

「え?俺、よく彼女が泊まりに来るけど?」

「え、夜久さんんんっ!?」

「俺も前居た彼女と一緒に寝た事あるぞ」

「黒尾さんんん!?」

「ふぁ……じゃあ私は自分の部屋に戻ります。お邪魔しました」

「気を付けて」


葵を見送って、布団を畳んだ。




「ちょっと、山本、そこ邪魔なんだけど、布団畳めない」

「……。」

「山本?」

「ほっとけ研磨、アイツは今……現実と戦っている」

「?」


よくわかんないんだけど。
今日暑いかな、嫌だなぁ。










(葵ちゃん、どうだった?)
(クロ、何が?)
(柔らかかった?)
(……見てたの?)
(いんや、起きたら研磨が葵ちゃんを抱きしめてたから)
(クロ)
(ん?)
(女の子って思ったより柔らかいんだね)
(!!?)

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