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梅雨も明けて
最近はとても暑い……。


ああもうすぐ夏がやってくるんだなぁと更衣室にある鏡の前で部活用に髪を高く結った。
この長い髪を切り落としてしまおうかと思ったくらいに今日はとても暑い。




黒いTシャツと赤いジャージに着替えて体育館に出ると、バレー部はこんな暑い中でも練習に励んでいた。




うん。

今日もみんな格好良い。



私はみんながバレーをしている姿が好きだ。
私の中で一番格好良いと思う。
ゲームより好きになるかもしれない。






「研磨君、はいタオル」

「ありがとう。あれ、葵……なんか顔色悪い」

「え、私?……うーんちょっと暑いからバテて来たのかも」

「ちゃんと水分取ってる?」

「んー、後で飲んでおくよ」


自分よりも、頑張っている彼らにドリンクを作ってスクイズを渡す方が先決だし。






「だから研磨君はドリンクを飲ん……うぐっ!」

「今飲んで」

「っ!」


なんという事でしょう。
彼ってば女の子の口に向かって飲んでいたドリンクのストローをブッ刺しました。

あの、出来れば、
もっと優しい飲まし方でお願いします。






「飲んだ?」

「……はい」



飲んだ。
飲みましたけど……





「(あれ、これって)」


喉が潤うよりも気付いた大事なことを私は言っちゃってもいいのかしら……?


ええい、言ってしまえ。





「関節ちゅーだね」

「……。」

「ん?」

「っ!!?」


ああ、今頃気付いたのか研磨君。
顔を真っ赤にした研磨君を見て、私も照れ臭くなった。きっと私の顔も赤いだろうなぁ。





「……ごめん」

「ううん、ありがとう」

「あの、わざとじゃ……」

「うん。分かってる」

「……ごめん」


研磨君はそう言って、コートの方へ行ってしまった。















「どうした研磨?顔が赤いぞ」

「……なにもない」

「風邪……じゃ、ねぇなぁ。もしかして葵ちゃんか?なんかあった?」

「知らない」

「何か言われたのか?」


そう言うと研磨は恥ずかしそうな顔で俺の方を振り返った。






「な、なんもしてないっ……!」

「……え、なんかしたのか」


まさか研磨の方がやらかしたか。
葵ちゃんじゃなくて。






「で、研磨君は葵ちゃんに一体何をしちゃったのかなぁ?」

「……言うわけないでしょ」

「分かった。じゃあ葵ちゃんに聞いてくる」

「!」


研磨は去りゆく黒尾の腕をさっと掴んで静止した。





「……。」

「うわ……研磨、顔真っ赤」

「うるさい……、いいでしょ別に」

「純情だねぇ」

「……ねぇ、クロ」

「ん?」

「キスってしたことある?」

「…………なんだいきなり」

「……。」

「ある」

「!……いつ?」

「ファーストキスか?えーっと、中2?」

「!」

「それがどうかし……おい、まさかお前」


葵ちゃんと……?


いやいや早すぎだろ。
いくら仲が良くてもそれは早すぎだ。
お父さんは認めませんよ?




「し、してない」

「……だよな、焦った」

「……葵はさ」

「ん?」

「そういう事、した事あるのかな」

「うん?何?気になる系?もしかして葵ちゃんの事、女の子って意識しちゃった?」

「クロ何言ってるの?葵は女の子だよ」

「……。(そういや研磨の初恋っていつだっけ)」


そもそも研磨はあんまり人に興味ないからなぁ。
まぁ高校生にもなれば好きな奴が出来るだろうって勝手に思ってたけど……。


流石に山本までとはいかないが……。

コイツも相当恋愛下手だと思う。







(葵ちゃんがキス経験済みだったらどうする?)
(……別に)
(あれ?以外と受け入れるのか)
(葵、可愛いから。)
(うん?)
(可愛いから、そういう相手居たんだろうなって)
(……かもなぁ)





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