13
「はぁ……。」
頭では簡単な事だって分かっているはずなのに、やっぱりマイナスの方に考えてしまって上手く言葉に出来ない。この性格は昔からそうだ。
マネージャーやらない?
たった一言だ。
それを聞くだけ。
マネージャーの事を聞いたところで嫌われない、と心で思いながら歩いていた。
「葵、」
「ん?どうかした?」
昼休みが終わるギリギリの時間に研磨君が教室に戻ってきて、そのまま私の席のところに来た。
「……。」
「?」
「あのさ」
「うん」
「お願いがあるんだけど……。」
「うん?」
なんだろう?
宿題見せて?いや言われた事ないし。
ゲーム?
それなら大歓迎!!
「バレー部の、」
「うん」
「マネージャーやってくれない……?」
「……。」
マネージャー?
マネージャーってマネージャー?
あのマネージャー?
「え」
「駄目?」
「いや、駄目っていうか……バレー部にマネージャーいないの?」
「今いるマネージャーは3年生だからもうすぐ引退する」
「あー……そっか、3年生はそうだよね」
「マネージャーが居ないとその分練習の時間が減るし、その……。」
「代わりに、私にマネージャーをやってくれないかって事?」
「……うん」
「……。」
マネージャーかぁ。
研磨君が私に頼んでくれるのは嬉しいけれど、私、今まで部活動ってやった事ないし
それにいきなり運動部って……。
体育会系にのあの熱い感じについていけるかどうか。いやあくまでイメージだけどさ。
「やっぱり、駄目……だよね」
「私、マネージャーとかやった事ないし……。」
「そうだよね……ごめん」
「……研磨君はさ」
「?」
「マネージャーが居ないと困る?」
「……今バレー部にマネージャーが居ないと、俺だけじゃなくみんなも困ると思う。」
「そっか。うん、分かったよ」
「?」
「マネージャーやるよ、こんな私でいいなら」
「え!?」
え?今、葵は何ていった?
マネージャーをやるって??
あんなに部活をやりたがらなかったのに?
「え、あの、何で……?」
「え?」
「部活、やりたくないんじゃ?」
「やりたくないわけじゃないよ。今までやりたい事が無かっただけ。研磨君が困るなら、やるよ?バレー部のマネージャー」
「で、でもゲームする時間……減るし」
「そうだけど……研磨君とゲーム出来なくなるわけじゃないし。困ってるなら私も協力する。でもたまにはゲームに付き合ってね?」
「勿論……ありがとう、葵」
そういえば、クロはどうして、
葵がマネージャーを引き受けてくれると思ったんだろう?
ゲーム好きの葵が、マネージャーを引き受けなんて絶対、あり得ないと思っていたのに。
「研磨君が困るなら」
彼女は確かにそう言った。
俺の為、バレー部の為にマネージャーをやってくれるという彼女。
「……っ」
凄く嬉しかった。
(でも私、バレーのルール知らないよ?)
(葵がいつもやってるオンラインゲームのルールよりはずっと少ないと思う)
(ああ、 なら大丈夫だね)
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