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「はぁ……。」


頭では簡単な事だって分かっているはずなのに、やっぱりマイナスの方に考えてしまって上手く言葉に出来ない。この性格は昔からそうだ。




マネージャーやらない?


たった一言だ。


それを聞くだけ。



マネージャーの事を聞いたところで嫌われない、と心で思いながら歩いていた。










「葵、」

「ん?どうかした?」


昼休みが終わるギリギリの時間に研磨君が教室に戻ってきて、そのまま私の席のところに来た。






「……。」

「?」

「あのさ」

「うん」

「お願いがあるんだけど……。」

「うん?」




なんだろう?
宿題見せて?いや言われた事ないし。

ゲーム?



それなら大歓迎!!







「バレー部の、」

「うん」

「マネージャーやってくれない……?」

「……。」



マネージャー?
マネージャーってマネージャー?


あのマネージャー?






「え」

「駄目?」

「いや、駄目っていうか……バレー部にマネージャーいないの?」

「今いるマネージャーは3年生だからもうすぐ引退する」

「あー……そっか、3年生はそうだよね」

「マネージャーが居ないとその分練習の時間が減るし、その……。」

「代わりに、私にマネージャーをやってくれないかって事?」

「……うん」

「……。」





マネージャーかぁ。


研磨君が私に頼んでくれるのは嬉しいけれど、私、今まで部活動ってやった事ないし


それにいきなり運動部って……。

体育会系にのあの熱い感じについていけるかどうか。いやあくまでイメージだけどさ。







「やっぱり、駄目……だよね」

「私、マネージャーとかやった事ないし……。」

「そうだよね……ごめん」

「……研磨君はさ」

「?」

「マネージャーが居ないと困る?」

「……今バレー部にマネージャーが居ないと、俺だけじゃなくみんなも困ると思う。」

「そっか。うん、分かったよ」

「?」

「マネージャーやるよ、こんな私でいいなら」

「え!?」



え?今、葵は何ていった?


マネージャーをやるって??


あんなに部活をやりたがらなかったのに?






「え、あの、何で……?」

「え?」

「部活、やりたくないんじゃ?」

「やりたくないわけじゃないよ。今までやりたい事が無かっただけ。研磨君が困るなら、やるよ?バレー部のマネージャー」

「で、でもゲームする時間……減るし」

「そうだけど……研磨君とゲーム出来なくなるわけじゃないし。困ってるなら私も協力する。でもたまにはゲームに付き合ってね?」

「勿論……ありがとう、葵」




そういえば、クロはどうして、
葵がマネージャーを引き受けてくれると思ったんだろう?

ゲーム好きの葵が、マネージャーを引き受けなんて絶対、あり得ないと思っていたのに。





「研磨君が困るなら」

彼女は確かにそう言った。
俺の為、バレー部の為にマネージャーをやってくれるという彼女。






「……っ」



凄く嬉しかった。









(でも私、バレーのルール知らないよ?)
(葵がいつもやってるオンラインゲームのルールよりはずっと少ないと思う)
(ああ、 なら大丈夫だね)



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