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クロからの提案は



新しいマネージャー探し。
マネージャーの勧誘だった。





早めにマネージャーを探さないと、バレーの練習時間がなくなる。ドリンクの補充やボール拾いや、日誌記入に洗濯。



全部一年の仕事としてのしかかるなんて嫌だ。
ただでさえ一年に色々と仕事を押し付けているのに。






そんな事を頭の中でぐるぐると考えていた。








「(葵にマネージャーをお願いしてもきっと断られるに決まってるし……。ゲームする時間が無くなるのは嫌とか言いそう。)」


教室へと向かう途中、なんて言おうか悩みながら向かっていた。




「(何を言っても、どうせ結果は同じなんだから、普通に言えばいい……。)」






マネージャーやらない?って。





「(……簡単に言えたら、こんなに悩んでいない)」



もう教室の前だ。




「(なんて話しかけよう)」


もう自分の机に着いた。


「(ゲームしよう、だったら普通に話しかけれたのに)」




隣の席をふと見た。


少し眠そうな葵がいた。
きっとまた夜遅くまでゲームをしてたんでしょ?







「(はぁ、なんでこんなに緊張するんだろう)」



葵は俺に気付いて

笑顔で「おはよう」と言った。




「研磨君?どうしたの?」

「……え?」

「元気ないから、何かあった?」

「……別に。」

「そっか。ならいいけど」

「……。」


別に。って言っちゃった。
マネージャーやらない?って聞くだけなのに。







「ねぇ、葵」





言うだけ。


たった一言。





「ん?何??」

「……ぶ、部活ってやんないの?」



(間違えた……。)




「部活?うーん、今はゲーム以外にやりたい事ないしなぁ」

「そっか……。」



結局、言えないまま昼になってしまった。









「葵ちゃんどうだった?」


昼休みにクロと会えば、やっぱりというか……葵の事を聞かれた。




「……。」

「やっぱり駄目だったか?」

「クロごめん」

「?」

「葵にマネージャーの事、まだ聞けてない。」

「え」

「多分断られるだろうし……でもやりたい部活がないっては言ってた」

「そうか……うーん、俺の勘だけど葵ちゃんはマネやってくれそうな気がする」

「葵だよ?」

「うん?」

「あの葵が、やると思うの?」

「……自信無くすような事言うなよ」



ていうかそもそも何で研磨はそんなに葵ちゃんがマネージャーをやらないと思うんだ?






「なぁ研磨、もしかして葵ちゃんにマネージャーやって欲しくない?」

「え?」

「いや、そうなのかなって」

「……やってくれるなら嬉しいけど、別にマネージャーをやるのは葵じゃなくてもいいって思っただけ」


葵には好きな事やっててもらいたいし。







「……そっか」


優しいなぁこいつ。




「……でも一応聞いてみる」

「お、それは助かる。後で俺からも葵ちゃんに頼んでみようかと思ってたからなぁ」

「クロ、何かしそう」

「いやいや、前科があるみたいに言うなよ。普通にマネージャーを頼んでみようと思っただけ」

「……。」

「まぁ、葵ちゃんの口から「やる」って言わせるまで毎日頼み込むけどな」

「……泣かせる気?」

「♪」

「(やっぱり俺から頼んでみよう)」





(葵ちゃんの泣き顔とかイイ、よな)
(え。なにそれクロ怖い)
(……にやり。)
(ちょ、本気でやめてよ)



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