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バレー部の部員たちは、体育館に集まり
ため息をついていた。
「すみません…俺、結局女子に話しかけられませんでした、話しかけようとしたんスけど……。」
「いや、ありがとな山本」
「すびばせん……。」
「泣くな。……結局、全滅か」
夜久も海も福永も、他の部員たちもそれなりに頑張って勧誘したけれど新しいマネージャーを見つける事は出来なかった。
……あとは研磨か。
そういやアイツ今日遅いな。
少し遅れるってメール来てたけど、遅すぎだろ。
山「あれそういや研磨居ないっすね」
夜「そういえば、研磨どうした?」
黒「……。」
研磨の奴も結局、葵にマネージャーの事言えなかったんだろうな。
まぁアイツもアイツなりに色々考えてくれたようだし……少し無理強いさせたかな。
仕方ない、
マネージャー探しは別の策を考えるか。
別の策と言ってもなぁ。
「どうすっかなー、マネージャー…」
もう一回何人かに聞いてみるか?
それか俺から直接、葵に頼むか??
「葵、こっち」
「ちょ、待って」
「ん?」
声がした方を見ると、
研磨と……え、
葵ちゃん!?
……本物?だよな??
「……クロ、遅れてごめん」
「あ、クロ先輩、こんにちは」
「こんにちは、いや、え?葵ちゃんなんでここに?」
「葵がマネージャー、やってくれるって」
「研磨君にお願いされました。私にマネージャーなんて恐れ多いですが、よろしくお願いします」
「お、おお?……おお!!!マジか!ありがとな葵ちゃん!」
葵の両手を掴んでブンブンと握手をした。
「じょ、女子ぃぃいい!?」
黒「落ち着け山本」
「いやだって、び、びびび美少女!美少女が!」
夜「こりゃまたすっげー綺麗な子連れてきたな。研磨の知り合い?」
「うん」
葵の方を見れば、
クロと顔が真っ赤の山本に捕まっていた。
「クロ先輩ってやっぱり大きいですねぇ」
「いや、お前が小さいんだよ。ちゃんと飯喰ってるか?」
「……んーっと」
「ゲームばっかりやってて飯食うの忘れるんだろ?」
「なんで知って……!」
そう言うとクロ先輩はニヤっと笑った。
「(やられた)」
食えない人だなぁ。
「あああああの、俺、山本猛虎っす!」
「如月葵です。よろしくお願いします」
特に人見知りのしない私は、バレー部の人達に挨拶をした。
山「……あの、えと、その」
「うん?」
山「やややっぱり何でもないです……」
「?」
山「(なんだこの子、……か、可愛い)」
「よし、じゃあさっそく葵ちゃんにマネージャーの仕事教えるかな」
「ジャージの方が良いですか?」
「そうだなー、体育館のそっちの更衣室使って。バレー部のジャージはまた用意しとく」
葵にそう言うと、
彼女は頷いて更衣室へと駆けて行った。
「研磨、俺の言う通りだっただろ?」
葵ちゃんはバレー部のマネージャーやるっていう俺の勘が当たった。
いや、自信はそんなになかったけどなー
「うん、クロ何で分かったの?」
「そりゃあ、それが俺の凄さだ」
「……。」
「冗談。本当にただの勘だ。よくやった研磨」
「……でもびっくりした。絶対に断られると思ってたから」
「なぁ研磨、なんて言って口説いたんだ?」
「口説いてない……普通にお願いしただけだし」
でも、葵はバレー部に来てくれた。
「……葵、頑張るって言ってた」
「そうか、じゃあ俺らも頑張らねーとな!」
(あ、クロ先輩お待たせです)
(おお、)
(ポニーテール!!?)
(山本うるさい)
(サイドテールっていうんですよ?)
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