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会いたくなかった少女(2/2)







「初めまして、毛利蘭です」



ニコッと明るい笑みで自己紹介されれば、ペコッと頭を下げるしかなくて。


「蘭ねーちゃん、おじさん、この人がこの前話した爆弾事件の時助けてくれたお姉さんだよ」



目の前には、ヒロインである毛利蘭と、これまた有名である毛利小五郎を笑顔で紹介するボウヤの姿。



電話口で、夕飯をご馳走したいと言われた時から覚悟はしていた。



彼女達と接触するフラグは避けられそうにないとーーー



けどもっ・・・・これは予想してなかったっ・・・・



「コナンからお話は聞いてます、私、毛利小五郎と言います」



そう言いながら何故か花束を渡された。



ってか、なんで真っ白なタキシード着てんの?このおっさんは・・・・



花を受け取りながら、美しいだの、お綺麗だの鼻の下を伸ばしながら言ってくる彼に、はぁ・・・と生返事をしていると、足元でボウヤが耳打ちしてきた。



「ごめんね、綺麗なお姉さんが助けてくれたって言ったらおじさん舞い上がっちゃって・・・・」



なるほど、あんたが余計な言葉をつけたせいで、タキシードに花束まで用意して待ってたと・・・



「・・・・なんでもいいけど、綺麗とか、美しいとか、止めてもらっていいですか?」



ボウヤの言葉に、呆れた様に溜息を吐いて、ボウヤと、毛利さんに無表情で言った。



「ほへ?」



間抜けな顔で気の抜けた声を出す毛利さん。



「・・・・嫌いなんですよ、その言葉も、自分の顔も全てね・・・」



そう言ったりゅうの表情が傷ついたような表情で、小五郎も蘭もコナンも顔を見合わせた。




シィンとなる空気にりゅうは溜息を一つ吐いて、クルッと三人を見た。



「・・・・こんな性格です。気を悪くする発言もしてしまうだろうし、笑うことも苦手な女です。愛想だってよくできません。家族の空気を悪くするだけだろうし、帰りましょうか?」



そう言えば、蘭が慌ててかぶりを振った。



「そんなっ・・・父が女の人にだらしなくて不快な思いをさせてしまったのなら謝ります。だからそんな事を言わずに、コナン君や、私達を助けてくれたお礼をさせて下さい」



「不快て・・・・;」



蘭の言葉に小五郎が落ち込むようにいじけた。



「・・・・ボウヤに助言はしたけど、あなた達を助けた覚えはないけど?」



「目暮警部に聞いたんだよ!」



コナンが明るい声で言った言葉にりゅうは眉を寄せた。



「なんでも、高校で、帝丹は念入りに調べた方がいいってりゅうさんに言われたって・・・それで」



蘭がそう言えば、りゅうは、余計な事をっ・・・と舌打ちしたくなった。



「凄いよね!!僕や高木刑事はあのヒントで分かったのに、りゅうさんはヒントを見る前に解いちゃうなんてさ」



「・・・・まぁ、私の方も助言をくれ人がいたからね」



「え?そうなの?」



首を傾げて聞いてくるボウヤに、りゅうは話題をそらすために、お礼してくれるなら早くしてくれる?と言った。



「・・・・お腹空いたんだよね」



そう言うと、蘭が慌てて言った。



「すぐ支度しますね!」



「・・・・・・」



未だにいじけている小五郎を見て、一つ溜息を吐き近づいた。



「毛利さん、そんなに堅苦しい格好や態度でなく、自然体の家族で迎えてくれませんか?」



「え?」



「私、家族が居ないもので、そう言った雰囲気を久しぶりに体感したいんです」



だから・・・ね?いつもの毛利さんでいて下さい、と言えば彼はキョトンととした後、笑顔で頷き着替えてくる!と部屋の奥へと消えていった。



やれやれだ・・・・なんで来た早々疲れてるんだ、私・・・・



「りゅうさんって、やっぱり優しいよね」



「は?」



「冷たいようで、本当に暖かい人だなって・・・だって、おじさんにも蘭ねーちゃんにも気を遣わせない様に一生懸命言葉選んでるでしょ?」


えへへっと笑うボウヤ。



こいつやっぱり関わりたくないっ・・・・そう思うが、赤井の諦めろの言葉が頭に浮かんだ。



「・・・別に、お腹が空いたのも本当、あんな作られた態度より、自然体の方がいいと思ったのも本音。ボウヤは私の事をどう思ってるかは知らないけど、買い被りすぎよ」




私は貴方が思ってるほど優しい人間じゃない、そう言ってボウヤから離れた。








「手伝おうか?」



台所で一人でバタバタしているヒロインちゃんに声を掛ければ、お客様なんですから寛いでて下さいと座らされた。




ちょこんと、座って居れば着替えてきたボウヤと毛利さんの姿があった。



「・・・・さっきの格好よりも、自然体でそちらの方が素敵ですよ」



よく見慣れていたスーツを着ている毛利さんに言えば、彼は、いやー、そんな・・・と照れていた。







ーーーーお父さんー、コナン君ー、運ぶの手伝ってーーと蘭の声が響き、二人は返事をしながら立ち上がって行った。




そんな様子や、三人一緒に夕飯を運ぶ姿を見て自分の家族を思い浮かべた。




さぁ、召し上がれ!と笑顔で言った蘭に皆でいただきますと、手を合わせて食べ始めた。



食べ始めて直ぐに、お酒を飲み始める小五郎、もうっ!飲みすぎないでよ!?と注意する蘭に、苦笑いのコナン。





「・・・・・・・」



手にお茶碗と箸を持ったままその光景をボーっと見ていれば、コナンが首を傾げて、りゅうお姉さん?と不思議そうに言ってきた。



「あ、ごめんなさい、騒がしかったですよね・・・」



蘭が慌てて謝ってきたので、違うとすぐさま返した。



「いいの、構わないから・・・続けて」



俯き、言った言葉に三人は顔を見合わせて困った様な表情を浮かべた。



「・・・・ごめんなさいね、ただ・・・懐かしかったのよ、ただ・・・それだけ」



「懐かしい?」



「・・・・こうやって、言い合いしながら食卓を囲むのも、家庭で作ったものを出されて食べるのもーーー」



だから少し、感傷に浸っちゃっただけ・・・気にしないで、と言えば、蘭と小五郎はお互いに頷きあって、りゅうさん、と名を呼んだ。



「?」



「大したおもてなしもできませんし、父はこんなだし、煩い家ですけど、それでもりゅうさんが来たいと思った時は、いつでも遊びに来て下さい」



「・・・・・ありがとう」



フワリと笑う蘭にただぶっきら棒に返事を返すりゅう。



それでも、蘭も小五郎も気にした風はなく、笑ってくれた。



あー、やっぱり駄目だ・・・原作の時から思ってはいた。



この子は温かすぎる。



だから関わりたくなかったんだ・・・・



一度関わってしまえば、また会いたくなってしまう。



そんな風に思わせる子だ。




「・・・・巻き込みたくはないな・・・」



この子を、この家庭を、私のくだらない復讐に巻き込みたくはない。




その小さな小さな呟きを、隣にいたボウヤに聞かれてたなんて、ちっとも思っていなかった。






「・・・・じゃぁ、お邪魔しました」



ペコッと頭を下げれば、また来て下さいと言われて別れた。




少し歩いていれば、後ろから小さな足音が聞こえてきた。




最近よくこうやって後ろから追いかけられるな、そんな事を考えながら振り向けば、予想通り、ボウヤの姿があった。




「・・・・・こんな夜更けにどこ行くの?」



「博士の家に泊まりに行こうと思って」



「あー、そう。ガキがこんな時間によく、一人で出歩く許可を出したね?」



「うん、りゅうさんに送ってもらうから大丈夫っていって来たんだ」




おい、本人の許可なしに、何勝手に決めてんだよ、そう思うが、いくら中身が高校生でも、見た目はガキのボウヤを放っておく事は出来ずに、溜息を一つ、深く吐いた。



ありがとう、りゅうさん!なんて、笑顔で言ってくるボウヤを本気で蹴りたいと思ったのは内緒だ。





「・・・・ねぇ、一つ聞いていい?」



「嫌よ」




「・・・・即答だね」




呆れた様にははは、と笑うボウヤに、まぁね、と返した。




「巻き込みたくはないって・・・どういう意味?」



そういや、このボウヤも人の話なんざ聞かない奴だったな・・・・



「・・・・どっちみち聞くなら最初から聞かないでくれる?」


ってか、聞いてたのかよ、あんな呟きを・・・・



「で?どういうこと?」



あの少女が大切なのがよく分かる。なんとか誤魔化そうと軽口を叩いても引く気がないように、真剣な表情で、子供らしからぬ声で聞いてきた。




暫く無言で歩いた後、博士の家に着いたのでピタリと足を止めた。




「着いたよ、早く入りな」



そう言うが、ボウヤは動こうとしない。



それに溜息を吐き、ボウヤと視線を合わせるようにしゃがみ、ボウヤの眼鏡を取って自身に掛けた。



「あ、ちょっ・・・・」



眼鏡を取られて少し慌てるボウヤ。




「・・・・度が入ってないねー、伊達なんだ」



慌てる彼にスッと返してやれば、彼は慌てて眼鏡を掛けた。




「巻き込みたくはない・・・私と関わると、碌な事はないわよ?・・・まぁ、それはあなたもでしょうけど」



「え?僕?」



「・・・・君の周りはよく事件が起こるね。私、今日を抜かせばボウヤに会うたびに爆弾遭遇率100%なんだよね」




「・・・・はははは;(悪かったな)」



「ボウヤ、忠告しといてあげる。あの子を巻き込みたくはないなら、出来るだけ目立った行動は避ける事ね。この前のテレビや、キッドキラーと新聞に取り上げられたり・・・」



すくなくとも、奴らの目に止まる可能性は普通の子供よりは高くなる。




「・・・・・」




「まぁ、私が口出す事ではないけど、大切なら・・・分かるでしょう?」



スッと目を細めて言えば、ボウヤは探るような目で言った。



「・・・お姉さん、一体何者なの?」



ボウヤの言葉に、フッと意地悪く笑った。



「・・・・ナマモノ」



「・・・・へ?」



私の答えにキョトンとするボウヤを背に私は、じゃぁね。とー手を振った。






会いたくなかった少女
(おー、新一、来たか・・・どうしたんじゃ?難しい顔して・・・)
(銀りゅう・・・何者なんだ?)
(りゅう君?あー、哀君を助けてくれた彼女か)
(あぁ、あの人・・・博士の家を知ってたんだ(俺が立ち止まる前に足を止めた))


(お、盗聴器バッチリ付いたね、・・・っと、やば、博士の家、前にたまたま見つけて、ここかーなんて思ってたら無意識にボウヤの前に着いたって言っちゃったよ;)



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