プロローグ(2/4)
「・・・・・家はいろ」
暫くそのまま雨に打たれていたが、このまま一緒に自分の存在が流れるわけじゃない。
びしょ濡れのまま家に入り、浴室へと直行した。
お風呂から上がれば、フゥーっと息を吐き、ソファーへと身体を沈めた。
全てを失ったにも関わらず、どこか客観的に見ている自分が居た。
「・・・そもそもどうしてこうなったんだっけ・・・・」
ボーっと遠くを眺めながら徐々に頭を駆け巡るのは多くの情報量。
「ははっ・・・私、今14歳なのに・・・なんで・・・触ったことも見たこともない銃の扱い方なんか・・・覚えてるんだろう・・・」
その答えは簡単だ。
私は前世の記憶を持ってる。
前世で私はFBIだった。
警察は嫌い。
だからこそ、日本生まれであっても警察官になろうとは思わなかった。
「そういや、あの時も14歳だったな・・・・」
前世でも私は全てを失っていた。
現在と同じ、14歳という幼さで。
あの時もどれだけ悔やんだことか・・・
助けを求めなければ・・・あの人たちは死なずに済んだ。
大切な人たちだった。
目を瞑れば昨日の事の様に目に浮かぶ。
血だらけの惨状。
白い部屋が真っ赤に染まり、そこには大切な人たちのこと切れた姿。
ただただ泣き叫ぶことしかできなかった。
謝り続けることしかできなかった。
二度と繰り返すものか。
助けを求めることも、誰かに縋ることもやめた。
独りでも生きていくことを強く誓った。
自分と同じ思いをする子供が一人でも減らせるように。
私は死に物狂いで勉強してFBIになったんだ。
「・・・どうして、今になって前世の事なんて思い出したんだろう・・・・」
この記憶を思い出したのはつい最近だ。
あの頃と同じように、全てを失って絶望していた中、頭の中でパズルのピースが面白いくらいはまっていって、前世の情報が全て思い出された。
「失った後にっ・・・思い出しても遅いっつーのっ・・・・」
この記憶がもう少し早かったなら。
私は誰にも助けなんて求めず、自分だけでケリを着けることができたのにっ・・・・
記憶を思い出された後に考えるのは、この考えだけで。
何を考えたって結果、そこに行きついてしまう。
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