プロローグ(1/4)
ザァーザァーとバケツをひっくり返したような大雨の中、一人の少女が傘もささずに佇んでいた。
その少女は俯いたまま自分の拳を握りしめていた。
「なんで・・・どうしてっ・・・・・」
全てを失った・・・・
家族も、親族も、親しかった人も・・・
「私がっ・・・助けを求めたばかりにっ・・・・」
全部失ったんだ。
「二度もっ・・・繰り返したっ・・・・どうしてもっと早くっ・・・・」
気づかなかったんだっ・・・
悔し気に歯を食いしばった少女だったが、次の瞬間ーーー
フッと笑った。
「・・・・・code name ‘gin’・・・ねぇ。聞き覚えがある・・・。お酒がコードネームの組織・・・そう・・・ここはあの世界なのね・・・」
悲し気に揺れる瞳が見上げたのは未だに降り続けている雨。
「空が泣いてる・・・・」
涙を流さぬ少女の代わりに泣き続けるかの様に雨は止む気配もない。
それどころか益々強さを増すばかり。
少女の頬を濡らしているのは雨なのか、涙なのかーーーー
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