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寂しさを埋められないーーー(2/2)





寝室へとりゅうを運び、あまり使っていないベットへと降ろして掛け布団を掛ければ、モゾッと彼女は動いたが、起きる気配はなかった。




そのままベットの近くにある机にあるパソコンを開き、椅子へと座った。



そのパソコンの画面には昼間調べていた内容。






ーーー19**年、*月*日

夜中に放火と思われる火事。

2体の遺体が見つかった。

しかし、その遺体の死因は焼死ではなく、出血死。ナイフなどの鋭い何かに複数刺された跡があった。


犯人は、被害者に強い恨みを持った者の犯行とし、捜査を開始した。


その見つかった遺体の身元はーーー


銀 冬馬さん(36歳)

妻 心優さん(32歳)



二人の子供は、当初祖母の家に遊びに行っており、難を逃れた。






カチッとマウスを動かし、違う記事を開く。



ーーー19**年*月*日

ひき逃げ事故。


被害者  銀 白夜さん (19)


*時頃、あまり車通りがない場所にて、男の人が倒れていると警察に通報が入った。


ひき逃げ事故と断定するも、警察関係者はその事故に不信感を持つ。


轢かれた少年の身体は一度だけでなく、何度も轢かれた跡があったという。


怨恨の線で捜査を開始した。





カチッともう一度マウスを動かし、違う記事を出す。



ーーー19**年*月*日


昼間、静かな住宅街に悲鳴が響き渡った。


通報者は近所の主婦。


警察が駆け付けた時には、こと切れた老人と、その時に遊びに来ていたであろう女子中学生の死体を放心状態で見つめ、謝罪を繰り返す少女の姿があったそう。


被害者    銀 千代さん(69)

女子中学生  緋色 桜さん (15)




犯人はすぐに逮捕、しかし犯行当時、薬物を大量に使用していた為、責任能力がないと無罪放免となった。


加害者  五反田 大輔 (23)



そこまで目を通した後、パタンとパソコンを閉じ、後ろを振り返り眠っているりゅうの姿を見た。



「・・・・・・」


14.5歳の時、立て続けに起こった事件で彼女は全てを失った。


恐らく犯人の五反田 大輔は、最後の事件だけでなく、前に行った放火に刺殺、ひき逃げをしたのもこの男だろう。


彼女もこの事実には気がついているだろう。


だが、祖母と友達を殺した殺人犯を国の法律は、無罪としなんの罪も問われず、男は世に放たれた。


恐らくその事に絶望した彼女は警察、国の法律を憎むようになった。



彼女だけが殺されずに生きていることと、他の者たちへの残虐な殺害方法からして、男は彼女に好意を持っていたのだろう。


その上で、障害になりそうな彼女の家族を殺害。



公園の前で見かけた彼女の様子からして男は恐らくストーカー行為を繰り返していたのだろう。



その事で、親、兄妹、祖母に友達に助けを求め、求めたが為に死んでしまったと自分を責めている。



「当たらずとも遠からず・・・だろうな」


自分が立てた憶測だが、あながち間違ってはいないだろう。



「・・・だからお前は、独りでいるのか?誰にも頼らず、弱さを見せず、たった一人で・・・」



ベットに腰かけ、眠るりゅうの頬を撫でながら、一人の女を思い出した。



宮野明美ーーー彼女も全てを一人で抱え込み、一人で足掻き・・・亡くなった。



「・・・・女と言うものは馬鹿な生き物だな・・・」


そんな馬鹿な女一人、守れない俺も相当な馬鹿だとフッと笑う。




ーーー嘘つきっ・・・・


扉越しに聞いたりゅうの消え入りそうな声が頭に過った。



「一人が好きなのーーか、嘘だな、お前は一人が・・・寂しいんだろう?」


起きる気配がないりゅうの寝顔を、寂しそうに見て笑う赤井。



「・・・・俺も・・・同じだ」




そう呟いた赤井は静かに目を閉じた。




寂しさを埋められないーー
(なぁ、りゅう、俺はどうやらお前さんを放っておけないらしい)



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