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それぞれの想い(2/2)





一方、沖矢&コナンの方では、米花サンプラザホテルで事件の手がかりを見つけ出していた。




「昴さん!」



「えぇ・・・この傘があれば、誰にでも硝煙反応を出さずに銃が撃てますね」



「これであの場に居た全員が容疑者だね」



傘を証拠品として入手した後、容疑者の一人、小田切警視長の息子の俊也さんがやっているバンドのイベントへと足を運んだ二人。



そこで予想外の人物、仁野環さんが居た。



「・・・なるほど、彼女がパーティ会場に居たのは警視長の息子を尾行していたからですか」



「みたいだね、そして環さんは、兄が死んだ原因に俊也さんが関わっていると推理した・・・」




「・・・彼女に接触してみますか」



「うん」



沖矢とコナンは俊也に啖呵を切り、出て行った環の後を追いかけた。




「囮になるつもり?」




「え?」




外に出た環をコナンが呼び止めれば振り返る環。



「仁野保さんの妹の環さん・・ですよね?」



「あなた達・・誰?」



「江戸川コナン、探偵さ」



「沖矢昴と言います」



「・・・子供の探偵?あなたが・・・じゃなくて?」



環がコナンと沖矢を交互に見ながら言えば、沖矢はクスッと笑った。



「私は探偵ではありませんよ。ただ、事件の真相は気になって調べてはいますがね」



「・・・ふーん。で?私に何か用?」



「一年前のお兄さんの事件で容疑者が俊也さんで、父親が警視長の息子である為、事情聴取すら行われなかった。その事を突き止めたんでしょ?」



「・・・・・・」



「もしも、あなたが本当は兄である保さんの事が好きだったら・・・お兄さんを自殺と処理した三人の刑事をさぞ恨んだんでしょうね」



コナンの言葉に沖矢が続けて言えば環は「はっ!」と鼻で笑った。




「大っ嫌いよ、兄なんて。事件の事を調べているのは真実が知りたいからよ」



「だったら一か八か、敵の本拠地に乗り込んでみる?」



「−−−え?」



「小田切警視長の家に・・ね。」




沖矢とコナンは不敵に微笑み、環は驚きながらも二人に着いていった。




家に入る前で沖矢の携帯が鳴った。



「おっと、失礼」



「待ってようか?」



「いえ、私の事はお気にせず。後で結果を教えてください」



「うん、わかった!」



それだけ言えば、コナンと環は小田切警視長の家の中へと入っていった。



沖矢は塀の壁に背を預け携帯に出た。



「もしもし?」



≪あ、沖矢さん?安室ですけど・・・≫



「はい、りゅうが目を覚ましましたか?」



≪先ほどまでは起きてましたよ≫



ただ、今は外で子猫と遊んで疲れた様で寝ていますが、と苦笑い気味に言う安室に、沖矢も「そうですか」とフッと笑った。



≪・・・沖矢さん≫



「はい?」



≪あなた、言いましたよね?僕に、なぜ自分で護ると言わないんだと・・・≫



「・・・えぇ」



≪・・・僕がりゅうを護ります。そう言ったらあなたは引いてくれますか?≫




「・・・引く、とはどういう意味でしょうか?」




≪・・・りゅうは記憶を無くしてもまだ尚、あなたの事が大切なようです。あなたを失いたくないと・・・泣いていましたよ≫



「・・・・・・」




≪そんなりゅうの姿を見て、僕は一つ提案したんです≫



「提案?」



≪このまま・・・記憶なんて取り戻さずに、僕と一緒に居ないかと・・・≫



「っ・・・・・」



安室の言葉に沖矢は一瞬息を飲んだ。




≪・・・あなたなら知ってますよね?りゅうの中にある復讐心と罪悪感の事を・・・≫




「・・・えぇ」



≪このままなにも思い出さずに、笑って過ごしている方がりゅうの為だと思いませんか?≫



「・・・・・・・・・」



≪仮初かもしれない、いつ思い出すかもしれない。ただそれでもいい。どんな形でもっ・・・りゅうには笑っていて欲しいんですっ・・・≫



「・・・それは私も同感ですよ。復讐心も、罪悪感も全て忘れてただの女としての幸せを掴んでほしい、そう願うのは・・・」



≪・・・だったらっ、あなたの事を忘れたままの方がいいと、分かってくれますよね?≫



あなたの事を思い出せば、りゅうはきっとすべての記憶を取り戻す。



でもあなたが傍に居なければ、あなたの事さえ思い出さなければりゅうが記憶を取り戻す可能性は低い。



「・・・・それは私に彼女の手を離せと・・・?」



≪・・・もちろん、無理強いはするつもりはありません。ただ僕としては、あなたの事も、今までの事も思い出してほしくないです≫



このままあの笑顔が見れるなら・・・




「・・・・・・・・」



≪・・・あなたが手を離したら、僕が絶対にりゅうを護ると誓います。もう二度と、りゅうを悲しませたりしない≫



それだけです。そう言葉を残したきり、電話は切れた。



ツーツーと無機質な音が流れる電話を沖矢はただ見つめていた。




「りゅう・・・・」





それぞれの想い
(・・・俺を忘れる事が彼女の幸せなのか・・・?)

(・・・沖矢さんを思い出さない事が、彼にとっても私にとってもいい事なの・・?)


((それでも・・・思い出したい(思い出してほしい)と想うのは彼を(彼女を)不幸にするだけなの(か)?))

(りゅう・・・お前にとって一番いい事は何なんだろうな・・・ごめんな。今更兄貴ヅラして・・・傷つけてるのは俺なのかもしれないな・・・)



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