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・・・友達?(2/2)







一方、病室の外に出た二人はーーー



「さっきの話、どういう事ですか?」



安室が困惑した表情で沖矢へと問えば沖矢も困ったような表情をした。



「今の彼女には私の記憶がないんですよ?」



「それは見ればわかります」



「元々は一緒に住んでいても、彼女にその記憶がないのに、無理に同じ家に帰らせるわけには行かないでしょう?」



「・・・・・それはっ・・・」



そうかもしれませんが・・・・。と安室が顔を伏せた。



「風戸先生が言うには、今まで通り暮らしていけばフとした瞬間に記憶が戻る可能性があるそうです」



「だったら、ここは無理にでも・・・」



「ですが、リラックスした状態での生活でも思い出せる可能性が高いそうです」



「っ・・・・・」



沖矢の言葉に言葉を詰まらす安室。



沖矢が言わんとすることはわかる。



選択肢は二つーーー



今まで通りの暮らしで記憶を取り戻す方法は沖矢と共に工藤邸で暮らすという方法。


リラックスした状態では、兄だと信じている安室と暮らす方法。



「私も考えたんですが、一人で考えていても答えが見つかりそうにありませんのでりゅうに決めて頂こうと思いまして」



「まっ・・・それは、待ってください」



「どうしてですか?」



「・・・僕が今いる状況はあまりにも・・・」



りゅうには危険すぎる。



「ですが、このままではりゅうが・・・」



「その事も、コナン君に聞きました。犯人の顔を見ている可能性が高いと、それゆえ命を狙われるかもしれないと・・・」



「だったら、自分で護るとなぜ言わないんですか?」



「だから!!記憶がない状態で僕に近づくのはあまりにもっ・・・・」



「それは、記憶があっても同じ条件なのでは?」



「っ・・・・」



「それでも、彼女の近くにいたのは、護りたかったからなんじゃないんですか?」



「それはっ・・・・」



沖矢の言葉に安室は顔を俯かせた。



「・・・あなたのりゅうを見る目、あの目は大切なものに向ける目だ。恋愛感情じゃない、家族、何よりも護るべき相手・・・兄妹ですよね?」



「・・・・・・」



前回の件で、言おうとしたが言わなかった言葉。安室自身、沖矢が何かに気が付いているのは分かっていた為、別段それに驚くことはなかった。





「なぜ・・・兄妹の中で先に生まれてきたか、安室さん。あなたなら分かりますよね?後から生まれてくる妹を護るためですよ」




「・・・あなたに何がわかるんですか?」



顔を俯かせている安室の表情は読めないが、その声は低く、怒っているような声色だった。




「・・・・分かりませんよ。私は彼女に忘れられたとしても、絶対に手を離したりはしない」



「俺だって・・・俺だって離したくて離したわけじゃないっ!!!」



沖矢の胸倉を掴み、ドンーーと壁へと叩き付けた。



「・・・・・・・」



「りゅうがっ・・・傷つくんだっ・・・俺の事を思い出したら・・・あいつが傷つくんだよ!!」



あいつが傷つく必要なんてない。もう二度と・・・傷ついてほしくないんだよっ・・・・



壁に押さえつけられたまま、沖矢はジッと顔を伏せている安室を見ていて、安室の肩は微かに震えていた。




「・・・・お兄ちゃん・・・?」



病室からソッと顔を出すりゅうに、安室は慌てて沖矢から手を放した。



「・・・沖矢さん?」



その様子を困ったような表情をしながら見ているりゅうに安心させるために沖矢はニコリと笑った。



「なんでもないですよ」



「・・そうですか?」



「・・・りゅう、本当に何でもないんだ。部屋に戻ろう」



安室もなんとか笑いながらりゅうの背を押して病室へと入っていった。



ベッドに戻ったりゅうはどこかぎこちない二人を交互に見た。




「・・・喧嘩?」



「いえ」


「いや・・・」



りゅうの言葉にすぐに否定する二人だったが、その表情はどこか曇っていてーーー




「・・・コナン君の言葉は本当なんだ?」



「「え?」」



安室と沖矢が首を傾げた。




「二人は仲がいいって!喧嘩するほどってことかな?」



ふふっと笑いながら言うりゅうに、二人はピシッと固まった。



そして同時にコナンへと視線を向けたがコナンはりゅうが見えない位置で両手を顔の前で合わせていた。




「・・・・;(ごめんなさい、これしか言い分けつかなくて・・・)」




そんなコナンの様子に沖矢たちは察し、溜息を一つ吐いた。



しかしこの場合はもう、そういう設定のほうがいいだろうとお互いに苦笑いした。








・・・友達?
(・・・りゅう、僕は少し用事があってお前の傍に居てやることができない)
(え・・・?)
(僕がいない間、沖矢さ・・・沖矢がお前を見てくれるから・・・)
(え?ええ!?)
(だから・・・いい子にしてろよ)
(ちょっ・・・えぇっ!?沖矢さんに迷惑じゃっ・・・)
(・・・私は全然構いませんが・・・それで本当にいいんですか?)
(・・・・?)
(・・・・りゅうを、お願いします)
(お兄ちゃん・・・?)
(ずっとは無理でも、時間があれば会いに行くから・・・)
(・・・絶対だよ?)
(あぁ、約束するよ)



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