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・・・友達?(1/2)







「っ・・・・!?」



いきなり後ろを振り向く灰原にコナンが「どうした?」と聞けば「今誰かがこっちを見ていた気がしたけど・・・」と難しい顔をしたが、すぐに「気のせいね」と笑った。




「・・・いえ、私も感じました」



沖矢がジッとそちらを向けば灰原、コナンは息をのんだ。




「ねぇ、まさかりゅうさん犯人の顔見てるんじゃ・・・」



「あぁ、かもな」



「・・・だとすると、危険ですね」



灰原の言葉にコナン、沖矢が答えたが、沖矢が「そういえば・・・」と灰原の方へと顔を向けた。




「・・・・何?」



「大丈夫ですか?安室さんが多分そろそろ来るんですが・・・」



あなた確か、苦手でしたよね?と言う沖矢に灰原は目を見開いた。



「なっ・・・どうしてそういうこと早く言わないの!?」



慌てる灰原に沖矢は「忘れてました」なんて笑っていて・・・・



「・・・ははっ・・・;(安室さんは公安でもう最悪な事態にはならないと俺たちはわかってるからな)」



コナンがそんな様子を見て半目で笑っていた。そう、灰原には安室の正体が公安だとは教えていなかった。



そしてすぐに灰原が飲み物を買ってきた子供たちと博士を引き連れて帰って行った。



その際「おねーさん!またねー!」と手を振った歩美達にりゅうも笑顔で返した。




子供たちと別れた後、病室に戻る途中でりゅうの病室の前にいる安室の姿に気が付いた。




「お兄ちゃん!!」



沖矢たちと笑顔で話していたりゅうだったが、会話を途中で中断しすぐに安室へと駆け出した。




ダキッーーーと安室の腕に抱き着きながら「昨日はなんで帰る時起こしてくれなかったの?」とどこか不服そうに尋ねるりゅうに安室は困ったような表情をした。




「・・・・お兄ちゃん?」



その様子に気が付いたりゅうが抱き着いた腕をそのままに顔を覗き込むように首を傾げた。



沖矢とコナンを見る安室の表情は本当に困ったような顔をしていて二人も同じく困ったように笑うしかなかった。




「・・・なんでもないよ」



どこかぎこちなくではあるが、りゅうの頭をゆっくりと撫でる安室にニコッと笑いながら部屋へと入っていった。



「あ、沖矢さんでしたよね?りゅうさんの検査結果のことでちょっと・・・」



りゅうの部屋へと入ろうとすれば背後から風戸に呼び止められた沖矢。



「あ、じゃあ昴さん、さっきの事とか安室さんには僕が伝えておくよ」



さっきの事、とはりゅうが犯人の顔を見ている可能性が高いという事だろう。




「えぇ、お願いします」



沖矢はコナンへとそう言って風戸の後に着いていった。






「MRIの結果、りゅうさんの脳に損傷は見られません。やはり彼女の記憶障害は精神的ダメージから自分を救うためのものだと思われます」




「昨日言っていた曖昧な記憶だと戻りやすいというのは?」



「えぇ、恐らく通常の記憶喪失よりは戻りやすかと思います。現に彼女は全てを忘れているわけではなさそうですので。ただ・・・」



「ただ?」



「無理に思い出そうとすれば脳に異常をきたす恐れもあります」




「・・・・・・・・」



風戸の言葉にフムッと深く考え込む沖矢。



ピピピピッーーー



部屋の電話が鳴り、そちらへと視線を向ければ「少し失礼します」と一声かけてから風戸が電話へと出た。



「はい。はい。わかりました。電話してみます」



「・・・・・・・・」



新たに電話をかけ始めた風戸を何気なしに見ながら沖矢は色々なことを考えていた。



もしもりゅうが犯人の顔を見ているのなら早く記憶を・・・そう思うが、風戸のいう通り、無理に思い出させようとすれば・・・・



何かのきっかけで壊れてしまいそうなほどの彼女の精神が完全に壊れてしまう可能性も高い。




「あれ?おかしいな。出ない・・・」



風戸の電話の相手が出ないらしく、特に何かを話すわけもないまま電話は終了したらしい。



「・・・・自然に記憶を取り戻すにはどうするのが一番いいでしょうか?」




「そうですね、リラックス状態のときにフと思い出したり…後は今まで通り過ごしていれば部分部分で思い出す可能性が高いと思いますよ」




「・・・わかりました」




「様子を見る限り、記憶障害を起こしていること以外はいたって健康そうですので明日にでも退院しても大丈夫でしょう」




「そうですか。ありがとうございます」



風戸の言葉にホッとした。だが、退院後はどうするべきか・・・




「・・・・相談してみますか」



一人で考えていても埒があかないので、とりあえずりゅう自身にどうしたいかを聞いてみるかと思いながら、りゅうの病室を開けた。





「沖矢さん!」



沖矢の姿を見てパッとこちらを向くりゅうに、彼は優しく笑った。




「・・・・検査の結果ですか?」



りゅうのベッドの隣で椅子に座っている安室、そしてベッドの足元に座っているコナンの姿があった。



安室が口を開けば沖矢は「えぇ」と返事を返した。



「りゅう、明日退院できるそうです」



「本当ですか!?もう病院って退屈で・・・よかったです」



沖矢の言葉に嬉しそうに笑うりゅう。



「・・・そこで少し相談なんですが・・・」



安室とは反対側のベッドサイドの椅子に座りながら言葉を発する沖矢に首を傾げた。



「退院した後、どうしましょうか・・・?」



「どうするって・・・何がですか?」



「・・・元々生活していた家に戻りますか?それとも・・・・」



チラッと安室の方を見ながら言葉を濁す沖矢。



「ちょっ・・・待ってください、沖矢さん!」



その言葉に慌てだしたのはりゅうではなく安室だった。



更に首を傾げるりゅうに「ちょっと話があるから席を外すな」と小さく笑った後、沖矢を連れて病室の外へと出て行った。



「?」



「あ、ほら、二人仲がいいから・・・」



首を傾げるりゅうにコナンが慌てて言えば「そうなの?」と不思議そうな表情をした。



「・・・沖矢さんとお兄ちゃんが・・仲がいい?」



へぇー・・・と呟きながら二人が出て行った方を眺めた。




「ははっ・・そうそうっ・・(無理があったか・・・?;)」




「・・・全然、覚えてないや」




あははっと苦笑いするりゅうにコナンは「(一旦は誤魔化せたけど・・・)」後が不安だと思うコナンだった。



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