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痛み分け(1/2)








「あんたいきなり何言いだすの?」




「だってー・・・・・」



呆れながらユウナへと言えば何故か泣きそうな表情のユウナ。



「・・・そもそも付き合ってんじゃないの?」



今も一緒に居て、仕事も同じものを選んで・・・この11年ずっと一緒に居たんでしょ?と問えば黙り込むユウナ。



「っ・・・・・・」




「・・・・・え?何?まだ付き合ってないの?11年一緒に居て?」



「11年って強調しないでよ!なんか私が憐れじゃん!」




「・・・・・なんかごめん?」



「謝んないでよ!惨めじゃん!」



じゃあどうしろと・・・?



涙こそ流さないものの、目を潤ませて怒るユウナにりゅうは溜息を一つ吐いた。




「11年って・・・まさかずっと、片思いしてるんですか?」



隣りに居るのに?と園子が驚きながら言えば、グサッと胸に何かが刺さったようにショックを受けるユウナ。



「園子っ!!」



蘭が慌てて名を呼び止めれば「あ・・・すみません;」と謝る園子。




「・・・・謝られると余計惨め」



シクシクとワザとらしくその場に手を着くユウナ。



「鬱陶しいな・・・・」



「鬱陶しいとかっ・・・りゅうの鬼畜!」



「11年も驚きだろうけど、あんたの場合はそれ以上だよね」



「うっ・・・」



「「えっ!!?」」



りゅうの言葉に言葉を詰まらせるユウナに、驚きの声を上げる蘭と園子。



「もうっ!その話はいいの!!私の片思いの時間は置いとけ!!」




「あんたが先に話しを進めないんでしょーが」




「・・・・どうもすみませんね」



「そもそも、私が振るも何もさっきも言ったけど振られたのは私の方でしょうが。しかも授業中で静かなクラスのど真ん中でっ・・・」




「「ええっ!?」」



蘭と園子はまたも驚き声を上げた。




「・・・覚えてたんだね;」



「・・・・あんたに言われてさっき思い出したのよ」



今まで忘れてた。と言えば「・・・さいですか」と苦笑いするユウナ。




「・・・りゅうなら気がついてんじゃないの?だ・・・雨宮がなんであんなことしたのか・・・」




「・・・・・・・・」




カチャカチャと鍵穴を開けるための動きを再開させながら無言のりゅうに、ユウナは隣にしゃがんで顔を覗き込むように顔を傾げた。




「あいつ、ずっと引きずってる。もっと他にやり方がなかったのか、あの時あんたを突き放した事が正解だったのか・・・・」




「・・・・・・・・」




「・・・私も後悔してる。あんたの手を離した事・・・。ねぇ、りゅう。あの時私は何があってもあんたの手を離すべきじゃなかったのかもしれないね」



「・・・・突き放したのは私だよ」




「それでも、離すべきじゃなかった。今なら分かるのに・・・なんであんたが私を酷い言葉で遠ざけて突き放したのか・・・」



「あんたが自分を責める事じゃない。私がそうしたかったから、あんたには生きててほしかったから」



ただの私の自己満よ。だからあんたが後悔も気に病む必要も、私なんかに引け目を感じることもない。




「りゅう・・・・ごめんねっ」




「だから・・・・」



あんたが謝る必要はないってば・・・と言おうとすれば急に抱き着かれた。



「ちょっ・・・わっ・・・」



いきなり抱き着かれたため、その勢いのまま後ろへと倒れるりゅう。



ゴン!と頭を打ち「いたたっ・・・」と目を開ければポタッと頬へと落ちてきた雫に困ったように笑うりゅう。




「・・・・なんで泣く?」



上に覆いかぶさっているユウナの目から次から次へと零れ落ちる涙にソッと手を置きそれを拭いながら言えばユウナは「ごめんねっ・・・」と言う言葉を繰り返していた。




「・・・・バカでしょ?あんたが謝る必要なんてないでしょーが」




「手を離してっ・・・ごめんねぇっ・・・独りにしてごめんっ・・・・」




「あの時手を離させたのは私。独りに・・なりたかったの」



あの時、あいつやユウナの事なんて殆ど考えれなくて・・・手を離さなかったらあんた達の方が参っちゃうよ、そんな私の面倒なんて見てたら・・・・




「それでもっ!!手を離しちゃいけなかったっ・・・・どんなに突き放されても、傷ついてもっ・・・この手だけは離しちゃいけなかったっ・・・」



頬に置かれていたりゅうの手を握りしめながら涙を流すユウナにりゅうは「馬鹿ね・・・」と寂し気に笑った。




「いいんだよ、あんたがそんなに自分を責める必要なんてない。あの時、私から離れてくれて私はそれで救われた。あんたが・・・ユウナとあいつが生きててくれてて・・・それだけで私は十分なんだ」



私の方こそ・・・傷つけて遠ざける事しかできなくて・・・ガキでごめんね?と謝るりゅうにブンブンと首を振るユウナ。




その光景を見ていた蘭と園子の目にも涙が溜まっていた。



沖矢はコナンと顔を見合わせてフッと笑った。




「・・・・・・(とりあえず、一つ、過去に決着がついたようだな)」



沖矢は優し気にりゅうを見つめて「良かったな」と笑った。



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