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絶体絶命(2/2)









「ん・・・・・・」



目を覚まして真っ先に見えたのは天井だった。



「あ、目が覚めましたか?」



声が聞こえて横を向けば蘭の姿があった。




「蘭さん・・・・?」



「身体の方は大丈夫ですか?」



心配そうな彼女の声と表情に安室は徐々に思考が戻ってきた。




そして慌てて起き上がった。




「りゅうさんはっ!!?」




「りゅうさんなら隣です」



慌てて起き上がった安室に驚きながらも蘭はよっぽど心配だったのかと思い笑顔で隣が見えるように身体をずらした。




「あ・・・・・」



そちらを見ると点滴をして、寝ているりゅうの姿があった。




「結構危なかったみたいなんですけど、一度意識を取り戻したのが良かったんだろうってお医者さんが・・・」




「そう・・・ですか」



今は意識がないですけど、もう命に別状はないみたいです。と蘭が言えば安室はホッと息を吐いた。





「蘭ねーちゃん・・・・」




「あ、コナン君・・・・」



ガラッと扉を開けて入ってきたのはコナンで・・・



「昴さんに連絡したらすぐにくるって・・・」



「そう。良かった」



コナンの言葉に蘭はニコッと笑った。




「毛利先生は?」



「お父さんなら園子を送りに行ってます」



「安室さん、僕達もおじさんが戻ってきたら一度帰っちゃうけど・・・・」



コナンは何処か心配そうな表情をした。




「大丈夫だよ。僕はもう意識もハッキリしてるしね。昴さん・・だっけ?来るまではしっかり僕が見てる」




彼女が目を覚ましたらすぐに連絡を入れるよ、と安室が笑顔で言えばコナンは「・・・うん」と頷いた





それからすぐに小五郎が帰ってきて、一言二言安室と会話し、また明日来ると言って帰って行った。





病室で二人きりになると安室はゆっくりとベットから降りてりゅうへと近づいた。





「・・・・りゅう」



寝ている彼女の髪をサラッと撫でて、椅子へと座り、布団から出ていた包帯で巻かれている手を優しく握った。




「どうしてっ・・・お前まであの組織にッ・・・・・」




コツっとりゅうの手を額へと当てて俯く安室。





「・・・あの人たちの死に・・・ジンが関係しているのか・・・?」



だが、調べたがあの人たちを殺し、彼女が一人になったのは・・・五反田大輔と言う男が元凶だ。



しかもその男はどんなに探しても見つけることは出来ないままーーー




「もう一度・・・調べてみるか」




安室は蔵で泣きじゃくるりゅうを思い出し、痛む胸に傷ついたような表情を浮かべた。





「・・・・白夜、どうして・・・りゅうを残して死んでしまったんだい・・・?」



約束したじゃないかっ・・・あの時お前はっ・・・僕にっ・・・・




そう言って顔を伏せた安室だったが、人の気配が近づくのに気がつき、慌ててりゅうの手を離し、布団を掛けた。




ガラッと開かれる扉に振り向けばそこには息が多少上がっている男の姿があった。





「・・・・りゅうは?」




「あぁ、あなたが昴さんですか?」




「えぇ・・・・」



近寄ってくる沖矢に安室は座っていた椅子から立ち上がり席を譲った。




「まだ意識は戻ってませんが、命には別状はないみたいです」



「そうですか・・・・」



安室の言葉にホッと胸を撫でおろす沖矢。



椅子に座り、スッと彼女の手を握ろうとすれば包帯が両手に巻かれていた。




「凍傷が酷いみたいで・・・冷凍庫の中で水を掛けられて、脱出するために荷物を必死にどかしていたのだと思います」




「水・・・ですか?何時間も閉じ込められていたと聞いたのですが・・・」



安室の言葉になぜその状態で生きていられたのか・・・いや、死がリアルに感じられてゾッとした。




「僕も閉じ込められたんですが、その時たまたま毛布を持ってまして・・・それでその・・・」




どこか気まずそうに視線を泳がす安室に沖矢は「・・あぁ」と納得した。





「・・・適切な処置・・・だと思います。そうしなければりゅうは助からなかったかもしれない・・・本当にありがとうございました」




そう言って立ち上がり、頭を下げる沖矢に安室は慌てて手を振った。



「いえいえっ・・・本当に・・・良かったです」




フッと笑う安室に沖矢はもう一度頭を下げて椅子へと腰を下ろした。




安室もベットへと潜り、目を閉じた。






















・・・・・・・・・・・・・・



懐かしい夢を見た気がする。



悪夢じゃなくて、とっても温かい優しい夢。



母が静かに見守ってくれてるように微笑んで、父がコクコクと眠りそうになっていて、それを見てにぃーにがペンを持って落書きしようとしていて・・・



それを見て私は大爆笑し、私の笑い声に目を覚ました父が、にぃーにのしようとしてた事に気がついてゲンコツを一つ。



相当痛かったらしいにぃーには目に涙を溜めたまま私を追いかけ回すーーー



にぃーにに捕まった私は髪をグシャグシャにされて頬を膨らませばそれを見てにぃーには、悪戯っ子のように、それでもとても優しく笑うんだーーー



その笑顔を見てしまえば私も釣られて笑ってしまって、二人で顔を見合わせて笑えば、その様子を母も父も笑って見ているーーー




とてもとても・・・幸せだった日々ーーー







「にぃー・・・に・・・・」




ツゥーっと流れた涙を沖矢はソッと拭った。




「りゅう・・・」





聞こえてきた声に、徐々に浮上する意識。




ゆっくりと目を開けば真っ先に見えたのは心配そうな、どこか疲れているような沖矢の顔。





「・・・・・す・・ばる・・?」




「・・・えぇ。やっと目を覚ましましたね」



名を呼べば、ホッとしたような表情を浮かべる沖矢。



キョロッと辺りを見渡せばそこは見慣れた最近お世話になっている工藤邸の寝室。




「・・・・あれ?」



ゆっくりと起き上がればいきなりギュッと抱きしめられた。



「わっ・・・・昴?」




「・・・・心配しただろうが、阿呆・・・」



強く強く抱きしめられて、どこか掠れた様な声にりゅうは何が起こったか思い出した。



「・・・心配かけてごめんね?」



ギュッと抱きしめ返せば沖矢の腕が更に強まった。




スッと身体を離した沖矢の頬に触れようとすれば痛む手に顔を顰めた。



「っ・・・・」



「凍傷が酷いようだからな。明日病院に行くぞ」




「・・・・うん」



沖矢の口調でなく赤井の口調の彼に戸惑いながらも、いつもの様に嫌だとハッキリと言うのは気が引けた。



心配そうな表情、最近沖矢昴の姿ではなかったはずの隈も薄っすらとあり、あまり寝ていない事が分かった。




「私どのくらい寝てた?」




「・・・・一週間だ」



「へっ・・・?」



そんなに寝てたの?と自分で驚いた。



「病院側も後は目が覚めるのを待つだけだと言っていたのでな。家に連れて帰ってきたのが昨日だ」




「一週間・・・・・もしかしてその間ほとんど寝てないの?」



困ったように眉を下げて沖矢の頬を撫でるりゅう。




「・・・・このまま目を覚まさなかったら・・・そう思うと柄にもなく怖くて仕方がなかった・・・・」




そう言って沖矢はコツンとりゅうの額へと自分の額をぶつけた。




「・・・心配かけたね。ごめんね。もう、大丈夫だから・・・・」



そう言ってフッと笑えば沖矢も弱弱しくフッと笑った。



そんな彼の表情にりゅうの胸はツキンと痛んだ。




「・・・・昴」




「・・・・ん?」



困ったような表情で名を呼ぶりゅうに、沖矢は優しい声色で返事を返した。




スッと彼にりゅうから小さく口づけたーーー






絶体絶命!?
(!!)
(・・・・・・何?)
(いや、珍しいな、と思いまして・・・この姿であなたからなんて・・・)
(・・・変装解いたら出来ないからね。こんな手だし・・・・)
(りゅう・・・・)
(・・・・何?)
(ククッ・・・・)
(何笑ってんのよ・・・)
(いや・・どうしてこちらを見ないんですか?)
(っ・・・うっさい!分かってて言うなっ・・・)
(ククッ・・・真っ赤だな)
(〜〜〜っ・・・・もう絶対しないから!)
(それは残念です。・・・けど、私の方からなら・・・いつでもいいですよね?)
(っ・・・・・知らないっ)



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