事件ホイホイ×2(2/2)
「もしもし?」
夜寝る部屋で準備をしていれば携帯が鳴っていることに気がついて部屋を一人でて外へと行くりゅう。
「昴さんかな?」
「うん、多分ね」
蘭が笑顔でコナンへと言えばコナンも笑顔で頷いた。
「昴さんかぁー・・やっぱイケメンは彼女持ちばかりよねー・・・」
園子が呟けば、蘭が「園子だって京極さんがいるでしょ?」と言った。
「真さんはたまにしか会えないもの・・・でも!昴さんとりゅうさんって・・・お似合いよね!もう正に美男美女!って感じで・・・」
「あ・・・園子、りゅうさんにあんまり綺麗とかって言っちゃだめだよ?」
園子の言葉に蘭が言えば「へ?なんで・・・?」とキョトンとする。
「えーっと・・・・」
言いづらそうにしている蘭にコナンが助け舟を出す。
「りゅうさん昔変な男の人に好かれちゃってそれ以来、綺麗とか言われるとその事思い出しちゃって自分の顔が嫌いなんだって」
大雑把に説明するコナンに園子は「そうなの・・・」と呟いた。
「美人には美人の悩みがあるのね・・・」
まぁなんにせよ、私には一生分からない悩みだわ・・・と園子が言えば蘭が苦笑いした。
「別に園子は美人じゃないってわけじゃないと思うけど・・・」
「園子ねーちゃんの場合、顔より性格だよね!」
蘭の言葉にコナンが続ければ園子はコナンへとゲンコツを落とした。
「いってーーー!!」
≪りゅう、昼間送ってきたこの写メ何ですか?≫
「え?暗号みたいだよ」
≪まぁ、それは分かるんですが・・・あなたも中々主語がないですね≫
人には散々主語がないと言うくせに・・・と沖矢が呟く。
「別に写メだけでいいかな?と思って」
で?何か分かった?と聞けば沖矢は「全然」と答えた。
≪そもそもこれ何の暗号ですか?≫
「京都の事件知ってる?」
≪あぁ、確か義経の盗賊がどうとかって・・・≫
「そうそう、8年前に盗賊団が薬師如来を盗んでたみたいでね、その暗号を解いた先に・・・」
≪なるほど・・・その薬師如来があるのでは・・という事ですか≫
「そうそう」
≪だったらせめてそれだけでも添えてください≫
京都と義経に関する盗賊と言われれば分かるのだが、何分りゅうが送ってきたのは絵の写メのみ、最初これは?と首を傾げるも何らかしらの暗号だとは分かりはしたが。
≪電話でも掛かってくるかと思って待ってみても結局掛かっても来ませんでしたし≫
「あぁ、ごめん。桜見てたら眠くなって転寝してたわ」
≪そうですか・・・それで?≫
「何が?」
≪・・・・・≫
「あ、今溜息ついたでしょう?」
≪・・いえ、りゅうは何かに気がついたんですか?≫
「え?いや、全く考える気もなかったけど・・・」
≪自分が興味ない暗号を人には解けと?≫
「毛利さんとボウヤが考えてるし、昴にも送ったから私は必要ないでしょう」
≪全く・・・;でもまぁ、この暗号は恐らく私には解けませんよ≫
「あれ?ギブアップ?」
≪生憎、京都には詳しくないもんでね。恐らくこれは京都の何かに纏わった暗号だと思いますので、私もそこに居れば恐らく分かるのでしょうけど・・・≫
「ふーん・・・」
≪自分で聞いておいて興味なさそうですね≫
「まぁ今回はそれよりも関わりたくないフラグが立ちそうでそれを回避するためにはどうするかって事しか考えてないよ」
そんな会話をしながら暫く沖矢と話したりゅうは電話を切った後、フッと笑った。
次の日ーーーー
蘭たちは和葉と合流するべく出かけていき、りゅうはコナンを連れて外へと出た。
「で?釣りする‘お友達’は何処に居るの?」
隣を歩くコナンにちょっと意地悪く聞いてみれば彼は「はははっ・・・;」と苦笑いした。
「りゅうさん、知っててわざと言ってるでしょう?」
「もちろん」
「はは・・・;で?蘭達と離れたし、別に付いてこなくてもいいぜ?」
「あぁ、まぁそうだけど、蘭ちゃんには私がついてるからって言った以上一人にはさせられないでしょうよ」
りゅうが素っ気なく言えばコナンはフッと笑った。
「なんだかんだりゅうさんって面倒見いいし優しいよね」
「うるさい、中身が高校生だってバラシて一人にさせるよ?」
「あ、それは勘弁・・・;」
そんな会話をしながら最初に辿り着いたのは五条大橋だ。
「・・・・・・謎の絵に関係ありそうなものはねぇな・・・」
橋に寄りかかって水の流れを見ていればボウヤはチョロチョロと橋を行ったり来たりしながら絵を広げて見ていて、何もないと思いしまっていた。
「京の五条の橋の上・・・大の男の弁慶は長い薙刀振り上げて牛若目がけて斬りかかる!!」
いきなり聞こえてきた声と、竹刀をコナンへと振り下ろされたのを見て、りゅうは顔を顰めた。
あ、知らないフリしようかな・・・・
確かあの少年は服部平次、西の高校生探偵だったはず・・・
昨日彼は来ないと言っていたから油断していた。
コナンは振り下ろされた竹刀を咄嗟に交わしてりゅうのすぐ横に橋の欄干へと飛び乗った。
「なっ・・?!はっ・・服部!?」
コナンがゲッとしたような表情を浮かべるも、服部と呼ばれた少年はフッと笑った。
「お前とここで会うとは神さんも洒落たことしてくれるやんけ」
竹刀を肩へと当てながら言う服部の後ろから子供たちが走ってきて「竹刀返してよ!」と言われて返している姿をボーっと見ていた。
「竹刀なんて借りるなよな・・・」
コナンが呆れたように言うが服部はお構いなしにコナンへと問いかける。
「それよりお前、こんなとこで何してんねん?」
「お前の方こそ何やってんだよ?」
二人が会話をしている最中、りゅうはこれはボウヤと服部が一緒に行動するはず、とスイッとその場から離れようとした。
「(関わらないのが一番)」
ピピピッーーー
「あ、電話・・・服部、ちょっと待っててくれ」
電話が鳴ったコナンは服部との会話を中断し、電話を取った。
「もしもし?・・・え?昴さん?」
いきなり聞こえてきた名前に、ピタッと足を止めてしまった。
あれ?私の方へと掛かってきたのかな?と思い携帯を見るが着信はない、だとしたらボウヤに用があったのだろうか?・・・何か嫌な予感がした。
「え!?そうなの?・・うん、うん、分かった」
じゃぁね!と電話を切ったコナンは先ほどまでりゅうが居た場所へと目を向けた。
「あ・・・あれ?」
話しかけようとすればりゅうの姿はなく、キョトンとするコナン。
「なんや?誰からやったんや?」
そんな様子を服部が怪奇そうに聞けばコナンは知り合いからなんだけど・・・と言葉を言いながらキョロキョロと顔を動かした。
「あ!居た!りゅうさん!!」
コナンが少し離れた位置でりゅうの姿を発見して駆け寄った。
それに服部は首を傾げながら着いてきた。
「何処かに行っちゃったかと思ったよ・・・」
「何処かに行こうとしたのよ」
コナンの言葉に不機嫌そうに言えばコナンは「今ね・・・」と口を開こうとした。
「昴からでしょう?ボウヤに用事があったんでしょう?」
だから私じゃなくてボウヤにかかってきたのだろう。
「あ、そうなんだけど、昴さんにりゅうさんの事頼まれちゃって・・・」
頼まれる・・・?何故?この場合普通は私がボウヤを見ているように頼まれるはずだろう。
それが顔に出ていたのか、ジト目でコナンを見るりゅう。
「りゅうさん、方向音痴だから一人で知らない土地を歩かせるなってさ!」
ニコォ!とどこか小憎たらしい笑顔を浮かべるコナンにイラッとした。
「あの馬鹿ッ・・・・」
なんでわざわざそんな事バラす!?とりゅうはピキッと怒りマークを付けた。
「なんや、知り合いなんか?このねーちゃん・・・」
服部がコナンへと問えばコナンは「りゅうさんって言うんだよ」と笑顔で紹介した。
「・・・また変なフラグが立つし・・・」
事件ホイホイが二人・・・これはもう確実に巻き込まれる・・・
そう思いながら服部がよろしゅう!と笑顔で挨拶した。
「・・・どうも」
それに素っ気なく返せば、「なんや愛想ないねーちゃんやな」と素直な意見が返ってきた。
関わりたくないからね、と心で呟きその場を離れようとするりゅうをコナンが慌てて手を引っ張って止めた。
「ダメだって!僕昴さんに頼まれたんだから」
「迷うほど歩き回んないわ!だから離せ!」
ブンブンと手を振るも、コナンは負けじとしがみ付く。
「僕だってそうしたいけど迷ったら昴さんに怒られるの僕なんだよ!?」
「ああ、そうね!だから?」
「・・・・・・(にゃろう・・・こうなったら・・・)うわーーーーん!!!」
大きな声でウソ泣きを始めるコナンにりゅうと服部はギョッとした。
「ちょっ・・ボウヤ・・・」
うるさいし、他人の目が痛いっ・・・
「お姉ちゃんのばかー!!僕お姉ちゃんと一緒がいいーー!!」
駄々をこね始めるコナンにヒクッと頬が引き攣った。
このクソガキャァっ・・・・
「〜〜〜っ・・分かった!分かったわよ!一緒に居ればいいんでしょう!?だから黙れ!」
すれ違う人の目がウザすぎて半ば投げやりに言えばピタリと泣き止みコナンはニコッと笑ってりゅうの手をギュッと握った。
事件ホイホイ×2(今日は一緒に回ろうね!お姉ちゃん!)
(・・・・ウザい)
(酷いなぁ・・;)
(おっ・・おい、くどぅ・・やない、こ・・コナン君・・・?)
(え?あぁ、りゅうさんなら俺が工藤新一だって知ってるぜ?)
(なにやとぉっ!?)
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