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趣味は盗聴(1/2)







「へ?バーボンが本格的に動き出した?」




突然の沖矢の言葉にりゅうは唖然とした。




「えぇ、なんでも探偵として毛利さんに弟子入りしたとかなんとか・・・」




「・・・・は?」




弟子入り?何の冗談だ・・・;




確かに情報収集や観察力に洞察力に長けた人物と言われた時点で探偵みたいな奴だな。とは思ったけど・・・・




「組織のコードネームまで与えられてる人間が、毛利さんに弟子入りする必要はある?」




「ないでしょうね」




「だとしたら・・・あの件か・・・」



ハァーっと溜息を吐けば沖矢は首を傾げた。




「あの件?」




「水無怜奈の件があったでしょう?」



そこまで言えば頭が切れる赤井の事だ、すぐに理解した。



「なるほど・・・、シェリーと何らかしら関りがあるんじゃないかと未だに睨んでいてそれを探るために・・・ですか」



フムっと考え込む沖矢に溜息を吐いた。




「それにしても・・・毛利さんを探ったり、赤井に変装して周囲の反応探ったり・・・疑り深いんだか、探るのが好きなのか・・・」



それとも何個も掛け持ちで探るほど暇人なのだろうか・・・?



まぁ、なんにしろ、頭が切れるのは間違いない。




赤井が敵に回したくない男と言うのもこの時点だけで十分頷けた。




「・・・私だったら何個か掛け持ちして探るとごっちゃになりそう・・・」



恐らくバーボンが探りを入れるために行動を起こしてるのはその二点だけではないだろう。



探偵と名乗ってる以上、一般の依頼の為に探る必要があるだろうし、沖矢の言葉、‘こちら側の人間’の意味は・・・・恐らく組織の敵に当たる人物なのでは?と睨んでいるのだろう。




まぁ私は会った事も見た事もないわけだからそんなのは知らないが・・・



仮に組織の敵であれば、そこでまた一つ、組織相手に探りを入れつつ、警戒をしているのだろう。




「・・・めんどくさそう・・・」




「何が?」



いきなり呟いたりゅうの言葉に沖矢が尋ねれば・・・




「あっちもこっちも探るのが一杯って事は・・・そのバーボンからしたら周りは敵だらけなわけでしょう?気が休まる時なんてないでしょうね・・・」



考えただけでも私には無理だ。



私が今こうして素の格好で生活しているのは組織相手の一つだけだから。




「・・・・そう考えるとあんたも面倒臭い位置に居たわね」



チラッと沖矢を見れば彼は首を傾げた。




「組織に居た事あるのでしょう?組織相手に探りを入れつつ表ではFBIは敵、外で予想外な事多そうよね」



あんた変装とかできないだろうし・・・



そう言うと彼は苦笑いした。




「まぁ確かに予想外な事は多かったですが・・・」




「一番予想外・・・っていうか、焦ったのは?」




りゅうの言葉に沖矢はすぐさま声を発した。




「妹が・・・真純が組織の潜入中に俺を見つけて着けていたときかな・・・」



あれは本当に焦ったと困ったように彼は笑った。




「妹・・・あぁ、なんか最近蘭ちゃんの高校に転校してきた・・・見た目が男の子に見えるっていう・・・」




「えぇ・・私も最近よく見かけますが・・・あいつは昔から変わらない・・・」



そう言って笑った沖矢の表情は優しげだった。




「ふぅん・・・一度会ってみたいな、赤井秀一の・・・妹に」



「まぁいずれ会うんじゃないかな?そう遠くない未来・・・」



フッと笑う沖矢。




「そういえばあんたなんでそんなに情報早いの?」




ボウヤから聞いたにしてはそんなにチョコチョコと会っている様子はない。



電話でもしているのだろうか?とも思ったがそうでもなさそうで・・・



となると、よく耳にイヤホンしているなとは思っていたが・・・



「・・・・盗聴器か」



呆れたように言えば沖矢は悪びれた様子もなく、えぇ。と答えた。



「ついでにハッキングもしてるので、どこに何があったかは家に居ても分かりますよ」




・・・・こいつ怖いんだけど・・・;



家に居ながら把握とか・・・しかもいつの間に仕掛けた・・・?盗聴器やらハッキングなど・・・




「りゅうだってしてるでしょう?」




「へ?」



「コナン君に・・・未だに盗聴器付けたままでしょう?」




「あぁ・・・そっち?(ハッキングなんてした覚えないぞ?と思ったけど・・・)」




そういや最近全然聞いてなかったな・・・




「・・・それよりも何をイヤホンで聞いてるわけ?」




先ほどから眉を度々顰めながらイヤホンへと耳を傾ける沖矢にりゅうは呆れたように問えば彼は隣の家へと目を向けた。





「電話がさっきから鳴ってるんですよ」




「留守なんでしょうよ」



「まぁ、そうなんでしょうが・・・遅くないですか?」



「・・・あぁ、哀ちゃんの帰り?」



「えぇ、確か今日は学校帰りに子供たちを家に招くと言っていた気がするんですが・・・」



いつから聞いてたんだよ、その盗聴器・・・;




「・・・まぁ、博士が家に居ないのも・・気にはなるよね」




「・・・・・・」



「・・・・・・」



少し考えてお互いに顔を見合わせて沖矢は頷き立ち上がった。



その様子に溜息を吐きながらもしょうがないか、と思い沖矢の後を着いていく。



外はもう陽が落ち始め、夕陽が沈みそうだった。




「博士、沖矢です、いらっしゃいますか?」



呼び鈴を鳴らすも応答せず、仕方なしに扉を叩き声を掛けるが応答なし。



徐にりゅうがドアの取っ手に手を掛ければーーー



カチャッと音がした。




「・・・・鍵を掛けずに長時間も留守にするかな?」




やはり何かがおかしい、そう思って部屋の中に入れば電話が鳴り響いた。




沖矢は一瞬考えたか、「もしもし?」と電話に出た。



するとすぐに受話器へと目を向ける彼に「どうしたの?」と尋ねれば「切れました」と返ってきた。



そしてまたすぐに鳴る電話に沖矢はりゅうへと受話器を向けた。



「・・・・・」


眉を顰めながらもその意図が分かり受話器を受け取った。



コホンーーーと一つ咳ばらいをした後、ピッとボタンを押した。




「もしもし?」



「・・・・・ホォー?」



哀ちゃんの声で電話に出れば沖矢は小さく目を見開いた。



変装術の時に声を変えているとはいえ、誰かの声をいとも簡単に出したことに感心している様だ。




≪おっ・・でた・・・≫



電話の向こう側から聞こえる声に電話なんだから出るだろう、と眉を顰めた。



スピーカーにするか?と沖矢に目で訴えれば彼は小さく首を振って今しているイヤホンを指さした。



あぁ、そう。スピーカーで聞かなくとも盗聴で聞けると・・・便利ですね・・・




「あの・・・?」



一向に言葉を言わない相手に急かす様に声を掛ければいきなりあんたの父親は預かったとか抜かした。




「・・・父・・・ですか?」



それ誰ですか?



≪お前の父親だろう!?一緒にそこで暮らしてるっ・・・・≫




「いえ、父ではありませんが・・・まぁそれはいいので話を進めて」



≪えっ・・あっ・・あぁ・・あんたの父親・・じゃなかった、同居してるジジィを預かった。返して欲しけりゃ金を用意しろ≫




「いくら?」



≪へ?≫




「いくら用意して、どこにいけばいいの?」




≪あー・・・1億・・・≫



「無理ね、夜だもの。銀行は開いてないしそんな大金下ろせるわけないじゃない」




≪じゃっ・・じゃぁ今用意できる金はいくらだ!?≫



その言葉に沖矢をチラッと見れば両手の指を広げる彼にコクっと頷いた。



「今すぐにかき集められるのは・・・キャッシュで下ろせても100万が限界よ」




≪100万・・・まぁいい。それを持って○○っていう工事中のビルに来い!≫




「今すぐ?」



≪あぁ!今すぐだ!くれぐれも警察になんて連絡すんじゃねぇぞ!?警察なんか連れて来たらその時点でジジィをぶっ殺す!!≫




そう言ったきり、電話が切れた。




「○○・・・ですか」



「とりあえず行こうか」



二人は手ぶらでそちらへと足早に向かった。



え?100万?持ってく訳ないじゃない。



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