第十訓 2



「いやー奇遇ですねィ。今日はオフでやることもねーし、大好きな格闘技を見に来てたんでさァ。しかし旦那方も格闘技がお好きだったとは…。
俺ァとくに女子格闘技が好きでしてねィ。女どもがみにくい表情でつかみ合ってるトコなんて爆笑モンでさァ」

「なんちゅーサディスティックな楽しみ方してんの!?」





女子格闘技の会場で会った銀ちゃんたちと階段のところでお話。

今日も今日とて総悟のサディスティックな部分全開だ。
うちは女子格闘技とか見ても全然笑えないんだけどなぁ。
むしろ眠くなってきちゃった……。






「それより旦那方、暇ならちょいと付き合いませんか?もっと面白ェ見世物が見れるとこがあるんですがねィ」

「面白い見世物?」

「まァついてくらァわかりまさァ」






そう言って総悟が連れて行ったのは煉獄関=B
そこで行われているのは正真正銘の殺し合い。
こんな賭け試合は明らかに違法で行われているもの。

目の前で行われる殺し合いは見てて気分のいいものじゃない。





「沖田さん、亜希ちゃん。アンタらそれでも役人ですか」

「役人だからこそ手が出せねェ。ここで動く金は莫大だ。人間の欲ってのは権力の大きさに比例するもんでさァ」

「マジな話し、ヘタに動けばウチも潰されかねないからねぇ……。身動き取れないってワケだよ〜」

「これだから組織ってのは面倒でいけねェ。自由なアンタがうらやましーや」






こんな殺し合いの場、潰せるもんなら早く潰してるよ。
殺し合いなんかしたって誰も幸せになんてなれない。
人を殺したらその分、人に殺される覚悟もしなくちゃならないんだ。


そんな辛い連鎖、あっちゃダメ。






「…………言っとくがな、俺ァてめーらの為に働くなんざ御免だぜ」

「おかしーな。アンタは俺らと同種だと思ってやしたぜ。こういうモンは虫酸が走るほど嫌いなタチだと…。
アレを見てくだせェ。煉獄関、最強の闘士鬼童丸=B今まで何人もの挑戦者をあの金棒で潰してきた無敵の帝王でさァ」

「まずはあの人を探ればなにか出てくるかもね〜♪」






こっそり里美さんに聞いたらそんなこと言ってたもーん。
里美さんはこの件に関わるつもりはないみたいだけどねー。






オイ

「心配いりませんよ。こいつァ俺と亜希の個人的な頼みで、真選組は関わっちゃいねー。ここの所在は俺らしか知らねーんでさァ。だからどーか、このことは近藤さんや土方さんには内密に…」



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――――――



―――



「なかなか敵さんも尻尾をださねーな。ザコをやったところで何も出てこねーや」






数人のザコの上に乗り上げた総悟がそう呟く。
うちも2〜3人くらい拳でハッ倒したんだけど、普段刀使ってる時とは勝手が違うから疲れた。






「ねー総悟〜。もう手が痛いんだけど〜。鷹丸がいいかなぁ?それとも国丸?」

「てめーに刀使わせたら全部切っちまうだろーが。素手でやってろィ」





(えー)


ぶーぶー文句垂れてながら周囲に倒れてるザコを一箇所にあつめる。
結構やったけど情報全然出てこないなぁ。
こんだけやっちゃったらそろそろ向こうにバレてもおかしくないんだよね。
これ以上いっちゃうのは危な ザリッ… ―――!!






「オフの暇で仕事とはご苦労だな。お前らがそんなに働き者だとは知らなかったよ…」

「総悟くん…亜希ちゃん……見つけましたよ」





………土方さんと真由さんかぁ。
銀ちゃんたちに秘密裏に頼んだの無駄になっちゃったなぁ。


(あ〜ぁ……ゴメンね、銀ちゃん)








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