第七訓 2



事の始まりは今日の昼間。
いつものごとく懲りずにお妙ちゃんをストーカーしているであろう局長を探しに街に出た時だった。






「あなたいつまで仕事サボってるつもりなんです!?」

「おお、継美!いいところに!お前の口からも弁明してくれ!」

「はあ?」

「その、実はですね―――」






ファミレスの中に局長の姿を見つけたあたしは新八くんから事の次第を聞いた。

なんでも万事屋3人で宇宙旅行に行っている間にお妙ちゃんの下着が盗まれた。
お妙ちゃんは『下着ドロなんて女の敵だ』という神楽ちゃんと手を組んで、その犯人を血祭りにあげようとしている。
そんな中犯人の目星がついているということで、犯人として疑われているのが我らが局長である近藤さん。


(ハァ…)

普段からストーカーなんかしているから疑われるんですよ、全く。






「仕方ありませんから弁明します。局長はこんな人ですが、下着ドロなどという卑劣な真似をするような男性ではありません。正々堂々正面からいって玉砕するような人ですから、下着も正々堂々正面からいってもらいに行くでしょう」

「それはそれで変態ですけど!!?」

「大体そういった下着ドロの犯人ならば、これではないでしょうか」







手にしていた新聞をスッと差し出す。
新聞の一面を飾るのは最近巷を騒がしているコソ泥、怪盗ふんどし仮面の事。
あたしたちが早く捕まえられないせいでお妙ちゃんにまで被害が及んでいるなんて考えもしなかった。

あたしの友人の下着を盗むなんていい度胸じゃないか。






「そーか…このパンツにはそーゆう意味が!俺ァてっきりサンタさんのプレゼントかと…」

「アンタもらってんのかィィ!!」






(……な、なんで、あれ…をっ!)

かあっと熱くなる頬を押さえる。
銀さんが持っているあのパンツは数日前あたしが亡くしたと思っていたお気に入りのパンツじゃないですか!!
屯所内でパンツがなくなったなんて男所帯だから言える訳もなくて困っていたというのに、何故そこに。


ま、まさか、まさかまさかまさか!!!
あたしのパンツはふんどし仮面に盗まれていたとでもいうんですか!?






「んで、お妙の下着かっぱらったのもコイツの仕業だと」

「ああ。今や江戸中の娘達が被害に遭ってる。しかし民衆、特にモテない男になまじ人気があるため同心連中も捕まえるのに苦労してるようだ」

「ケッ。ただの変態のくせに一端の義賊気取りか。気に食わねー、気に食わねーぜ」






銀さんの手の中でパンツが嫌な音を立てる。
本当に待って欲しい。
あれ、パンツにしては結構な値段した上に履きやすいからお気に入りなのに破かれたらたまったものじゃない。
同じものを色違いで揃えようとしたら入荷はしばらく先って言われて、大事に履いてた代物なのに。

(ま、待……!)






「なんで俺がモテねーのしってんだァァァァァ!!!」



バリィッ



「あああああパンツぅぅぅ!!」

「いやぁぁ!!あたしのパンツがぁぁぁ!!」

「「「……ウソォォ!!!???」」」








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